<女性インタビュー>2024年春、北朝鮮内部はどんな状況か(1) 誰が、なぜ飢えているのか?

AI要約

北朝鮮で春の端境期に生活困窮が深刻化し、多くの人が飢えや栄養失調で死亡している実態が明らかになっている。

食糧不足や食料品の流通途絶により、特に年配者が被害を受け、各地で相次いで死者が出ている。

政府は状況を受け、食糧配給の一部を行うなどの対策を講じつつも、多くの住民が依然として栄養不足や飢えに苦しんでいる。

<女性インタビュー>2024年春、北朝鮮内部はどんな状況か(1) 誰が、なぜ飢えているのか?

毎年春になると焦燥感がつのる。春の端境期を迎えた北朝鮮住民に、また良くないことが起きるのではないかという心配のためだ。2004年の春、北朝鮮で何が起きているのか。4月末に両江道(リャンガンド)住む女性に電話取材した内容を2回にわたって報告する。(チョン·ソンジュン / カン·ジウォン)

電話取材をしたのは、両江道に住む育児中の女性だ。 コロナ禍以前は、中国製品を扱う商売を一人でしていたが、当局の統制でできなくなり店をたたんだ。北朝鮮当局の電波探知や盗聴を警戒し、数分ごとに通話を中断して、時間をおいて再開する方法でインタビューを進めた。

――コロナパンデミックの期間、北朝鮮の状況がひどかったと聞きました。具体的に説明してください。

コロナにかかって死んだ人より、国境封鎖によって多くの人が死にました。お金が底をつき、個人で金を稼ぐことが全くできないので、昨年のポリコゲ(春窮期)の時期はたくさんの人が死にました。

※ポリコゲ(春窮期) 前年に収穫した食糧が底をつき、まだ麦が実っていない4月から始まる春の端境期

――周囲で大体何パーセントくらいの人が死んだと思いますか?

何パーセントかは分かりませんが、去年の5月だけでも町内で3、4人は死んだと思います。その時死ななかったとしても、当局があれこれ統制ばかりして食べ物も与えないから、今まで生き延びているのは本当に幸運なことです。1日1食をやっと食べるような人が多いし、食べることができずに栄養失調で浮腫む人も多いです。

――どんな人たちの一番打撃が大きかったですか?

去年は「穀物販売所」もろくに機能せず、流通が途絶えたりしたので、あるものを全部食べた後で、元手のない人たちが急に食べ物がなくなるという状況でした。それによって栄養状態が悪くなり、下痢や風邪のようなたいしたことのない病気でも死にました。

正直言って、年寄りはほとんど死んだと思います。少し具合の悪くなっただけでも、薬もないし、ご飯もろくに食べられないから。はぁ··…。ここもひどかったんですが、吉州(キルジュ)や金策(キムチェク)、咸興(ハムン)などでは、アパートで1日に2人、3人ずつ死んでいったと聞きました。深刻だったので、上層部では軍糧米や戦争物資から一週間分の食糧を配給したりしました。

※穀物販売所 国営の食糧専売店。金正恩政権は2019年頃から市場での食糧流通を強く統制しつつ、この専売店でのみ主食のコメとトウモロコシを購入できるように改変した。