NATO、ウクライナ支援で役割増大に合意 米大統領選にらみ

AI要約

NATOはウクライナへの軍事支援や訓練供与でより大きな役割を担うことで合意した。

合意は今秋の米大統領選の影響を考慮したもので、トランプ前大統領の再選可能性をにらんだ措置の一部とされる。

NATOは直接的な関与を増やし、ウクライナへの支援を円滑に行うための取り組みを強化している。

(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)は16日までに、ベルギー・ブリュッセルで国防相理事会を開き、ウクライナへの軍事支援や訓練供与でNATOが「より大きな役目」を担うことで合意したと発表した。

一部のNATO当局者によると、14日の合意は今秋の米大統領選の趨勢(すうせい)が分析しにくいことをにらんだものとなっている。

返り咲きを狙うトランプ前大統領はNATOや欧州への軍事支援を疑問視する姿勢を長年示している。同氏が米大統領選に勝利する可能性があることを踏まえ、NATOはウクライナへの軍事支援を継続させる担保を確保したとの指摘もある。

NATO当局者の1人は今回の合意について、11月の米大統領選後、米国の対ウクライナ支援のあり方が不透明になるため、ウクライナへの訓練や兵器供与で欧州がより多大な責任を担うことを意味するとも説いた。

NATOのストルテンベルグ事務総長は13日、ウクライナ向けの全ての軍事支援のうち99%以上をNATOが提供していると指摘。その上で、「これらの努力でNATOが一層の役割を引き受けることは理にかなっている」とも述べた。

米国防総省当局者などによると、ウクライナへの軍事支援により直接的に関与することになるNATOはドイツ・ウィースバーデンに本部を設け、中将の司令官を配置する。司令官はカボリ欧州連合軍最高司令官の指揮下に入る。カボリ陸軍大将は、米軍の欧州軍司令官も兼ねている。

ストルテンベルグ事務総長は、国防相理事会での今回の合意について、軍事支援の間延びや遅延を最小限にとどめるのが狙いと説明。米議会での調整が難航し新たな支援が数カ月にわたって中断した事例にも触れ、この空白はウクライナによるロシアへの抗戦に実際、悪しき影響を及ぼしたと述べた。