マクロン氏の決断、仏メディア「危険な賭け」 解散総選挙発表で

AI要約

フランスの与党が極右政党に大差で敗れ、マクロン大統領が国民議会の解散・総選挙を発表。

総選挙で国民連合が勝利した場合、首相が異なるシナリオが起こり得る。また、極右の首相誕生の可能性もある。

マクロン氏の決断は非合理的ではないが、危険な政治的賭けと評されている。

マクロン氏の決断、仏メディア「危険な賭け」 解散総選挙発表で

 欧州議会選で9日、フランスの与党連合が極右政党「国民連合」(RN)に大差で敗れたことを受け、マクロン大統領は国民議会(下院)の解散・総選挙を発表した。極右政党が政権に加わることへの賛否を国民に問う。

 マクロン氏は9日のビデオメッセージで「フランス国民が自身と、未来を担う若い世代にとって正しい選択をする能力があると私は信じている」と述べた。

 マクロン氏は生活への影響が見えにくく、批判、不満票の受け皿になりやすい欧州議会選と国政選挙では、有権者が異なる投票行動を取ると考えたとみられる。

 また、選挙制度の違いもある。総選挙は第1回投票日が6月30日、決選投票が7月7日に予定される。第1回投票では、各選挙区の有効投票の過半数を得た候補が当選を決め、決着がつかない場合は上位候補が決選投票に進む。比例代表制の欧州議会選と比べ、2~3人の候補者が競う選挙ででは国民連合は不利になる傾向がある。

 総選挙で国民連合が勝利し、第1党になると、大統領と議会から選出される首相の政党が異なることになり、保守系のシラク大統領と社会党のジョスパン首相が担った1997年以来となる。ただ、国民連合が他党の協力が得られず議会運営が難航した場合、2027年の大統領選で不利になるとも指摘されている。

 フランス史上初めて極右の首相が誕生する可能性があることについて、与党内からは批判の声が上がっている。仏メディアはマクロン氏の決断を「非合理的ではないが、危険な政治的賭け」と報じている。【ブリュッセル宮川裕章】