米仏首脳会談、ウクライナ支援強化で一致…訓練要員派遣巡り温度差

AI要約

米国とフランスの大統領がウクライナ支援強化で一致

支援のあり方で温度差、仏は訓練要員派遣を検討

バイデン大統領は対ロシア緊張緩和を重視

 【パリ=梁田真樹子、池田慶太】米国のバイデン大統領とフランスのマクロン大統領は8日、パリで会談し、ロシアの侵略を受けるウクライナへの支援を強化する方針で一致した。具体的な支援のあり方を巡っては温度差があり、仏側はウクライナ軍兵士訓練の要員を有志国で派遣する考えを示す一方、対露関係の緊迫化を望まない米側は反対姿勢を崩さなかったとみられる。

 両大統領は会談終了後、共同記者発表に臨んだ。マクロン氏は、「ウクライナが必要とする限り支え続けることで一致した」と説明。バイデン氏も「プーチン露大統領はウクライナだけでなく、欧州全体を脅威にさらす」と述べ、欧州との連帯を強調した。

 米国では、11月の大統領選でバイデン氏と再対決が見込まれるトランプ前大統領の支持者を中心に、ウクライナ支援予算を国内に振り向けるよう求める声が広がる。フランスでも、支援に懐疑的な右派ポピュリズム政党が支持を高めており、両大統領は、支援継続で米欧の結束をアピールする必要に迫られていた。

 ただ、マクロン氏は、米国とは一線を画す「欧州の戦略的自立」を掲げている。7日にはパリを訪問したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、訓練要員派遣のための「有志連合」を近くまとめる考えを示した。

 欧州としての行動が必要との主張を具現化するもので、対露強硬派のバルト3国などと足並みをそろえるとみられる。

 これに対しバイデン米政権は、訓練要員の派遣に反対の立場を示してきた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の兵士がウクライナでロシアの攻撃に巻き込まれれば、NATO全体とロシアの軍事的な緊張が極度に高まるためだ。

 ジョン・カービー米大統領補佐官は記者団に、「(バイデン氏は)当初からロシアとの戦争を求めないと明言している。紛争がそこまで激化すれば、欧州大陸全体に悲惨な結果をもたらす可能性がある」と述べ、慎重な姿勢を強調した。

 両大統領は、今月イタリアで行われる先進7か国(G7)首脳会議などを通じ、ウクライナ支援の議論を継続していく考えだ。