中国の無人探査機が月の裏側への着陸に成功 世界初の「サンプルリターン」に挑む

AI要約

中国の無人月面探査機「嫦娥6号」が月の裏側に着陸し、岩石などの試料を採取する「サンプルリターン」に成功することで、宇宙強国の進展をアピールする。

嫦娥6号は月の南極エイトケン盆地に着陸し、2キロの試料を採取する計画を実施。月の裏側には電波が届かないため、地球と通信する衛星を活用。

中国は過去に月の裏側への着陸や月の表側でのサンプル回収に成功し、今後も宇宙開発をリードする姿勢を示している。

【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は2日、中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が同日、月の裏側への着陸に成功したと伝えた。岩石などの試料(サンプル)を採取し、地球に持ち帰る「サンプルリターン」に挑む。成功すれば世界初。宇宙開発をリードしてきた米国に先駆けることで、「宇宙強国」の進展を国内外にアピールすることを狙う。

嫦娥6号は、計画通り月の南極付近に位置する巨大クレーター「南極エイトケン盆地」に着陸した。2日間程度を掛け、ドリルなどを使って約2キロの試料を採取する計画だ。

嫦娥6号の任務期間は53日間で、5月3日に中国南部の海南省から打ち上げられた。月の裏側には地球から電波が届かないため直接交信ができない。中国は地球と月の通信を中継する衛星を先に打ち上げて通信環境を整えた。

中国は月探査で実績を積み重ねてきた。2019年に世界で初めて月の裏側への着陸を果たし、20年には米国と旧ソ連に次いで3カ国目となる月の表側でのサンプル回収に成功。30年までに中国人による初の月面着陸を行う計画を立てている。