銃撃されたスロバキア首相が退院 業務復帰の見通し立たず

AI要約

5月15日にスロバキア中部ハンドロバで政府の会議に出席した後銃撃され、一時重篤な状態だった同国のフィツォ首相が5月30日、退院した。

独DPA通信などによると、暗殺未遂事件の犯人は強権的な司法改革や親露的な姿勢に反対し、フィツォ首相の仕事を不可能にすることを目的としたと述べた。

フィツォ氏は集まった市民と握手している時に銃撃を受け、搬送先の病院で手術を受けた後、退院したが、復帰の見通しは立っていない。

銃撃されたスロバキア首相が退院 業務復帰の見通し立たず

 5月15日にスロバキア中部ハンドロバで政府の会議に出席した後銃撃され、一時重篤な状態だった同国のフィツォ首相が5月30日、退院した。自分で食事できるほどに回復したが療養が必要で、業務に復帰する時期の見通しは立っていないという。

 独DPA通信などによると、フィツォ氏を暗殺しようとしたとして現場で拘束された男性(71)は取り調べに対し、フィツォ氏が進める強権的な司法改革やメディア統制、欧州連合(EU)の方針に反する親露的な姿勢に反対していたと述べた。フィツォ氏の殺害ではなく「健康上、仕事を続けることを不可能にする」ことが目的だったという。男性は現在も勾留されている。ショッピングセンターの元警備員で銃の免許を持ち、詩人として作家の団体にも所属していた。

 フィツォ氏は集まった市民と握手している時に銃撃を受けた。銃弾は腹部などに命中し、フィツォ氏は搬送先の病院で5時間にわたる手術を受け、2日後にも別の手術が必要となった。

 フィツォ氏は中道左派政党「スメル」党首で、昨年3回目となる首相就任を果たした。欧米メディアは、スロバキアで近年、政治的対立による社会の分断が深刻化したと指摘している。【ベルリン五十嵐朋子】