制裁「骨抜き」の現場ラオス 北朝鮮女性接客の高級カラオケを直撃

AI要約

国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁決議の違反の調査を停止した専門家パネル。北朝鮮関連のレストランで外貨稼ぎが活発化。

ラオスのビエンチャンで北朝鮮レストランが新規開店、中国人客が訪れる。カラオケルームで楽しむ光景。

制裁決議に従わない国もあり、労働者送還の義務があるが遵守されていない状況。

制裁「骨抜き」の現場ラオス 北朝鮮女性接客の高級カラオケを直撃

 国連安全保障理事会(安保理)による対北朝鮮制裁決議の違反の有無を調べる専門家パネルが今年4月、ロシアの拒否権により活動を停止した。制裁違反は急増するのか。7月下旬に北朝鮮と関係の深い国の一つ、ラオスで取材すると、北朝鮮女性が働くレストランには大型バスで韓国などからの観光客が乗り付け、高級カラオケも新規開店するなど「外貨稼ぎ」が活発化していた。

 首都ビエンチャンの最高級ホテルの中庭の先にある、ガラス張りの白い3階建ての建物から、男女の歌声や笑い声が響く。ホテルの地下でひっそりと営業していた北朝鮮レストランが5月下旬に移転オープンした「朝鮮平壌食堂新館」だ。

 1階は焼き肉や冷麺を出すレストラン。歌声が聞こえてくる2階へと上がろうとエレベーターに乗り込むと、中年男性5人とミニスカートをはいた若い女性が乗り込んできた。

 男性たちが話しているのは中国語だ。一方、若い女性も流ちょうながらアクセントのある中国語で「平壌出身だ」と自己紹介する。2階にはカラオケルームが5室あり、それぞれ5、6人の男性たちが数人の若い女性と共にカラオケを楽しんでいた。

 対北朝鮮制裁決議は、加盟国に対して北朝鮮労働者を送還するよう義務づける。東南アジアや中東など決議に従って労働者や食堂従業員を送還した国は多いが、中国やロシア、ラオスなど一部の国は従っていない。パネルが活動を停止し、「監視の目」が弱まった5月以降は、むしろ活動が活発化する様相も見せている。【ビエンチャンで福岡静哉】