フリーパス状態続く…中日・木下の盗塁阻止率“0割” チーム許盗塁も12球団最多で弱点が露呈した末での敗戦に

AI要約

オリックスは中日に犠飛で追いつかれ、犠飛でサヨナラ負けを喫する。竜の弱点である盗塁防御の低さが露呈し、木下の失策も響いた。

岡林や福永などが盗塁を決め、得点に繋ぐことでオリックスが勝利を手にする。盗塁は進塁手段であるだけでなく、得点確率を高めるための戦略であることを改めて示す。

サヨナラ負けから学ぶ。走ることは重要だが、最終目的は得点であり、盗塁はその手段に過ぎないことを認識する。

フリーパス状態続く…中日・木下の盗塁阻止率“0割” チーム許盗塁も12球団最多で弱点が露呈した末での敗戦に

◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」

◇31日 オリックス2×―1中日(京セラドーム大阪)

 犠飛で追いつかれ、犠飛でサヨナラ。もちろん主たる敗因は貧打だとわかってはいるが、竜の弱点が露呈した末の敗戦でもある。9回、先頭の宜保に三遊間を抜かれたところで、僕は絶対に走ってくると確信していた。俊足の走者。そして木下の盗塁阻止力の低さを知っていたからだ。

 結果は西川の2球目に二盗を仕掛けられ、ワンバウンド送球を村松が止められず、三進まで許した(木下の失策)。これで今季の木下に対しては盗塁企図19で、全て成功。つまり阻止率0割と、本人には厳しいがフリーパスの状態が続いている。

 チームとしても許盗塁36は12球団最多。盗塁刺3(加藤匠2、宇佐見1)も同じく最少。プロ野球は容赦ない。「走れる」「盗める」と思われたら最後、刺せるようになるまで徹底的に攻めてくる。

 ただし、試合を決められたのも盗塁が絡んだが、試合を動かしたのも盗塁だった。2回、先頭の岡林が失策で塁に出る。犠打で送ると見せかけて、2球目にスタートを切った。1回にも福永が二盗を決めており、これでオリックス・森は許盗塁16で盗塁刺は2。やはりギャンブルではなく「走れる」との確証を持った上での盗塁だった。木下の犠打で三進し、田中の一ゴロで生還。中日の今季の盗塁数は、ようやく阪神(15)を抜いてリーグワーストから脱した。

 「点につながって良かったです。それ(盗塁)が僕の仕事なんで」

 悔しい敗戦の後で、岡林がほんの少し喜んだのは、自分が走ったからではなく得点できたからだ。盗塁とは進塁の手段ではあるが、その目的は「走る」ではなく「点を取る確率を増やす」ことにある。実は今季16人目の盗塁成功者で、本塁までたどり着けたのは、4月2日の巨人戦(バンテリンドームナゴヤ)の代走・尾田以来、のべ15人目のことだった。ちなみに盗まれた36人のうち、生還を許したのはこの日の宜保で9人目。走る、走らせないはもちろん重要だが、最終目的はあくまでも「その後」なのだと、サヨナラ負けが改めて教えてくれた。