松本国際との決戦へ 上田西FW松本翔琉「その座を奪い取る」

AI要約

上田西が松本県ヶ丘を3-0で下して準決勝に進出

FW松本翔琉の活躍が光る試合で、1G2Aの活躍を見せる

チーム全体との連携も取れ、準決勝進出を果たす上田西の闘い

松本国際との決戦へ 上田西FW松本翔琉「その座を奪い取る」

 令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)長野予選の準々決勝で上田西は松本県ヶ丘を3-0で下し、準決勝に進出した。

 上田西の攻撃陣を引っ張ったのは東京SC U-15出身のFW7松本翔琉(3年)。松本は攻撃を組み立てる仕事の他、アシスト、ゴール、セットプレーのキッカー、ロングスロー、セカンドボールの回収など、大車輪の活躍をみせた。

 松本は20分に「速いボールを入れたら上手く中が合わせてくれた」と鋭いクロスでMF6松本悠真の先制ゴールをお膳立てすると、52分には「ゴール前は得意なので、振ることを意識していて、上手くDFをかわせたので」と左足で鮮やかなコントロールショットをネットに突き刺した。

 59分には「右サイドではドリブルで剥がしてからのクロスの流れを練習していたので、そこまでの流れに持っていけた。速いボールをファーに入れれば入るかなと思ったら、手前で上手く触ってくれた」と右サイドから中に切れ込んでシュート性のボールでDF4東風谷崇太のゴールをアシスト。1G2Aとチームの全ゴールを演出し、74分にお役御免でピッチをあとにした。

 この日の松本はゴールやアシストの結果も見事だったが、変幻自在のポジション取りも効果的だった。本人曰く「前半は右サイドで、途中からトップ下をやっていました」とのことだが、ボランチのように組み立て、サイドで起点を作り、ボックス内でフィニッシュの場面にも顔を出す。その動きに周りも連動出来ているから、チームがバランスを崩している感じもない。

 「2年生の時は無駄な動きをしないようにしていたんですが、3年生になってコミュニケーションをとれるようになって、自分の動きに周りが合わせてくれるようになった。それが練習で自然と身に付いてきて、全員で連携して攻撃が出来るようになりました」

 1年生でサイドを、2年生でトップ下やFWを経験した事でプレーの幅を広げ、自分たちの代となった今、松本の表現したいことをチーム全体で共有できている。

 「自分が下がったり受けたりすることによって、マークの受け渡しが間に合わなかったりもするので、自分で組み立てて移動してを繰り返すことで、相手もやりづらそうだと感じます」。松本がポジションを移動することがマークのズレを生み出し、それがこのチームの強みになっている。

 「最初は迷っていたんですが、全国大会に出たいと思って決めました」と東京から長野にやってきた背番号7。親元を離れて「お金のことだったり、洗濯だったり、ご飯だったり、今まで親が大変なことをやってくれてたんだなとわかって、いまでは本当に感謝してます」。この地で人間的にも成長を遂げた。

 これで準決勝に駒を進めた上田西。次戦の相手は難敵・松本国際だ。「松本国際は長野県では絶対王者。自分たちがその座を奪い取るつもりでやりたい」と闘志を燃やす松本。

 全国まではあと2つ。松本の左足が上田西を2012年大会以来の舞台へ導く。

 (文・写真=会田健司)