前年王者・東福岡がきっちり勝ち切り準々決勝へ

AI要約

東福岡が福岡県予選で福岡舞鶴を3-0で下し、準々決勝進出を果たす。

試合では東福岡が攻守において苦しむ場面もあったが、集中力を保ちつつ先制点を挙げ、結果を導く。

過去の苦い経験から選手たちは気を引き締め、全国大会出場への強い意気込みを示す。

前年王者・東福岡がきっちり勝ち切り準々決勝へ

 令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)福岡県予選は25日、4回戦を実施。東福岡と福岡舞鶴の一戦は、3-0で東福岡が勝利した。

 「プレミアリーグとはまた違った緊張感というか、勝たなければいけないというプレッシャーの中で戦うことに慣れていない。いつもの自分たちは出せなかったのですが、試合に勝てたことが一番良かったです」。DF2柴田陽仁(3年)が振り返る通り、決して満足のいく試合内容とは言えない中でも前年王者である東福岡がきっちり勝ち切って、準々決勝へと駒を進めた。

 この日の東福岡は従来の4バックではなく、3バックでスタート。FW9後藤舜平(3年)ら能力のある選手が揃う福岡舞鶴の攻撃陣を警戒したこと、ビルドアップをスムーズに進める狙いだったが、平岡道浩監督は「前半はいつもと違うフォーメーションだったので、みんながやりにくそうだった」と振り返る。

 「前半は自分たちの強みを全く出せなかった。相手に押し込まれるシーンもあって大変だった。セカンドボールを相手に拾われていたし、攻撃でボールロストが多かった」。そう続けるのは稗田で、ボールを動かすので精一杯になり、サイドにボールが入っても思い切ってシュートまで持ち込めない。前半25分にはMF11神渡寿一(3年)のパスから、DF12岡本有人(2年)がオーバーラップ。中に入れたボールが反対サイドの稗田に渡ったが、シュートを打ち切れない。反対に34分には高い位置でのボールロストから、MF11鬼塚悠斗(3年)にシュートまで持ち込まれるなど危ない場面も見られた。

 それでも、前半終了間際の35分には右サイドから中央寄りでボールを受けた稗田がPAの外からシュート。このボールが相手DFに当たると前に出ていたGKの頭上を越えて、先制点となった。後半12分には左サイドで粘った稗田がゴール前にボールを入れるとFW9斉藤琉稀空(3年)が冷静に決めて福岡舞鶴を引き離した。

 先週行われたプレミアリーグ第7節の米子北戦は2点のリードを奪いながら、試合終盤の3連続失点で逆転負け。「技術的な問題ではなくちょっとしたメンタルで穴を開けてしまって隙が出たところをやられてしまった」と振り返るのは平岡監督で、今週1週間は戦術練習よりも対人練習に時間を割いて守備力と精神力の向上に励んできた。

 苦い経験は選手の薬にもなっており、この日も2点目を奪った瞬間に柴田は「2-0だから危ないぞ。米子北戦をお前ら思い出せ」と声をかけ、気を引き締めたという。GK1後藤洸太(3年)が「得意なシュートストップができたらと思っていたのですが、今日はDFラインが頑張って、シュートを全部抑えてくれた」と振り返った通り、チーム全体で集中力を保ち続けた結果、無失点で試合を進めると25分には右CKからDF4大坪聖央(3年)がゴールネットを揺らし、3-0で東福岡が勝利した。

 昨年はインターハイで全国の舞台に立ったものの、選手権は2年連続決勝で涙を飲んでいる。今年1月に行なわれた県の新人戦は福大若葉に敗れ、準決勝敗退。近年ずっと出場を続けてきたサニックスカップへの出場権も逃した。だからこそ、インターハイにかける想いはどのチームよりも強い。「東福岡のプライドはある。今年こそは赤い彗星を全国に轟かせたい。小さい子どもたちに憧れてもらえるような強い東福岡を取り戻したい」。そう意気込むのは柴田だ。目標にする全国大会というスタートラインにたどり着くため、負けるわけにはいかない戦いは続く。

(文・写真=森田将義)