師匠の元横綱稀勢の里から「喜ぶな」と言われていた大の里、優勝決めても表情崩さず

AI要約

大相撲夏場所で、史上最速の初土俵から7場所目で初優勝を果たした大の里関(本名中村泰輝)が歴史的な快挙を達成した。

初優勝を決めた大の里関は冷静な表情で喜びを語り、親方からの助言を受けて落ち着いていた。

石川県出身で地震被災を経験した大の里関は、家族や地元への思いを明かしながら、優勝に感謝していた。

 26日に両国国技館で千秋楽を迎えた大相撲夏場所で、やっとちょんまげが結えるようになった大の里関(23)(本名中村泰輝(だいき)、石川県出身、二所ノ関部屋)が、史上最速の初土俵から7場所目で初優勝を果たした。優勝インタビューで喜びとともに「本当に強いお相撲さんになっていきたい」と抱負を語る大器が、歴史的な快挙を達成した。

 優勝を決めた後、勝ち残りの土俵下で、ぐっと表情を引き締めていた。優勝インタビューでは「きのう、親方(元横綱稀勢の里の二所ノ関親方)から『優勝しても喜ぶな』と言われたので、冷静に冷静にと意識しました」と、笑いを誘った。

 大の里関は日本体育大時代の2021、22年にアマチュア横綱に輝き、幕下10枚目格付け出しで昨年夏場所、初土俵を踏んだばかり。瞬く間に番付を駆け上がってきたが、新小結の今場所は順風満帆なわけではなかった。

 2日目の高安関との取組で敗れた際に、足首をひねっていた。報道陣の取材には「大丈夫」と応じていたが、父の知幸さん(48)には「一晩冷やしても痛い」とメッセージが届いたという。「休場してはどうか」と心配した父に届いた返事は、「休場は思ったことがない」。国技館で快挙を見守った知幸さんは「腹を決めて、痛い足でも地に足をつけて頑張った。信念がある男だ」と息子をたたえた。

 石川県津幡町出身の大の里関は、1月1日の能登半島地震で実家が停電などの被害を受けた。「能登はいいところ。海もきれいで魚もおいしい、景色もきれい」と思いを語っていた。

 2月には、同じ石川県出身の遠藤関(33)らとともに同県の避難所を訪問。穴水町を訪れた際には、「大好きな石川県、大好きな能登がこのような状況になって驚いた。皆さんが元気になればと思います。一緒に頑張りましょう」と被災者を激励していた。

 初の賜杯を抱いた大の里関は、「優勝する姿を石川の方に見せられた。本当にうれしい」と喜んだ。