大量点につながる6番栗原陵矢のバット ソフトバンクの強力クリーンアップの後を担うべきキーマン

AI要約

楽天ポンセとの対戦で、直球主体の攻撃を巧みに封じたソフトバンクが記録的な大勝。

栗原の活躍が目立ち、軸足の回転を意識しすぎていた過去から成長を見せる。

打線のつながりが効果的で、栗原が6番としてチームに貢献する姿が光る。

大量点につながる6番栗原陵矢のバット ソフトバンクの強力クリーンアップの後を担うべきキーマン

 ◆ソフトバンク21―0楽天(21日、みずほペイペイドーム)

【評論家の視点/柴原洋氏】

 楽天ポンセとは今季3度目の対戦で、14日の前回対戦では6回5安打1得点に抑えられた。そこで今回も1週間前と同じく力のある直球主体の組み立てで押してきたが、ソフトバンクは前回の反省を生かした。強引に力で打ち崩そうとして、差し込まれる打撃やミスショットが続いた失敗を繰り返さなかった。

 直球にほぼ狙い球を絞り、やや甘めのコースに来たところを集中力を高めて仕留めた。強引にいかずにセンター返しの打撃を続けて攻略し、一挙7点の2回は8本の長短打のうち7本が中堅から逆方向。栗原、川村、甲斐の3者連続の中越え二塁打には驚かされた。

 終わってみれば、23安打21得点の記録的な大勝。最も目を引いたのは、やはり栗原の活躍だ。2回の適時二塁打はシュート回転の外寄りの直球。体が少しでも開いたらバットの先になるところを我慢して、センターに打つポイントまで引きつけた上で押し返せた。

 3回の今季1号もうまく打った。体の開きを我慢して手打ちでなく体で振れたから、こすり気味かなという打球をテラス席まで持っていけた。4回のタイムリーは左腕の桜井から素直に逆方向に運び、5回の2ランは踏み込んで前で振り抜けた完璧な一発だった。

 今季は力強さを求めるあまり、開幕当初は軸足の回転を意識しすぎていた印象だ。試行錯誤の中で難しく打ってしまい、抜かれたり、差し込まれたりしてタイミングがなかなか定まらなかった。ここへ来て自分の捉えやすいところで打てるようになり、スイングゾーンも広くなった。

 栗原は責任感が強い。ただ、今季は柳田、山川、近藤の中軸の存在があり、開幕直後の苦しんだ時期も気持ちにある程度のゆとりがあったはずだ。打線のいいつながりの中で本来の打撃を取り戻せた。強力な中軸の後の「6番栗原」が機能すれば、大量点につながることを改めて証明した。(西日本スポーツ評論家)