100年ぶり「大関・おおのさと」復活へ “ちょんまげ”大の里が史上最速大関昇進を確実に 新時代幕開け

AI要約

大関昇進目安とされる3場所合計33勝に到達し、史上最速での大関昇進を確実とした大の里。次の相撲で優勝が決まる可能性も高く、盛り上がりを見せている。

大の里は運も味方して琴桜に勝利し、勝ち越しに繋げた。地元の後援会も結成され、支持を受けている。

昇進を掴むかどうかは最終日まで見極められる状況で、大関昇進が確定すれば新時代の始まりとなる。

100年ぶり「大関・おおのさと」復活へ “ちょんまげ”大の里が史上最速大関昇進を確実に 新時代幕開け

 ◇大相撲秋場所13日目(2024年9月20日 両国国技館)

 関脇・大の里が大関・琴桜を取り直しの末に破って12勝目を挙げた。夏場所で12勝、名古屋場所で9勝しており、大関昇進目安とされる3場所合計33勝に到達。初土俵から所要9場所での史上最速大関昇進を確実とした。1差で追っていた2敗の関脇・霧島と平幕・高安の2人はともに敗れて再び2差。きょう14日目、大の里が大関・豊昇龍に勝てば2場所ぶり2度目の優勝が決まる。

 大きな白星を挙げた大の里に、安堵(あんど)の表情は一切なかった。大関昇進目安とされる3場所合計33勝に到達。大銀杏(おおいちょう)が結えないまま大関昇進の史上最速記録更新が確実な状況にも、達成感は見せず「まだ場所は終わってないので。あと2番しっかり集中して頑張ります」と気を引き締めた。

 運も味方した。最初の一番、琴桜に出足を止められて右四つに。強引に出て行くところ、土俵際を回り込まれ、一瞬早く両足が土俵の外に飛んだ。軍配は琴桜に上がり、物言いがついた。「勝ちはない。運良くてもう一丁かも」。連敗も覚悟したが、取り直しの判定。「気持ちを切らさずに集中していけた」と今度は右差し左おっつけで一気に前に出て完勝した。この日は、12日間締めていた化粧まわしを替えて験直し。前日の敗戦から気持ちを切り替えて臨んだ。

 「大関・おおのさと」が1世紀の時を経て復活する。自身のしこ名の由来にもなった“相撲の神様”と呼ばれた名大関・大ノ里が昇進したのは1924年(大13)夏場所後だ。それからちょうど100年の節目というのも運命を感じさせる。その大ノ里の故郷・青森県藤崎町では大の里の後援会が発足し、化粧まわしを贈る計画が進んでいるという。8月20日に初めて藤崎町役場を訪問した大の里は、温かい歓迎を受けた。「地元ではないのにありがたい」。ゆかりの地からも後押しを受けている。

 2敗勢がともに敗れたことで再び2差がつき、2度目の優勝に王手をかけた。昇進を預かる審判部の高田川部長(元関脇・安芸乃島)は「千秋楽が終わってから」と残り2番を見てから正式に大関昇進を決めるという。きょう14日目、これまで一度も勝てなかった大関・豊昇龍を破って優勝を決めれば文句なしだ。5年間大関を務めた貴景勝が引退を発表し、世代交代の波が強く押し寄せている今場所。史上初のちょんまげ大関誕生で、新時代の幕が開ける。 (前川 晋作)

【大関昇進アラカルト】

 ☆所要 幕下10枚目格付け出しの初土俵から9場所での昇進は昭和以降では羽黒山(前相撲から)、豊山(幕下付け出し)、雅山(幕下付け出し)の12場所を抜き歴代最速。新入幕から5場所は年6場所制以降では大鵬の6場所を抜き、歴代最速のスピード昇進。

 ☆三役通過 3場所は年6場所制度以降では照ノ富士の2場所に次ぐスピード。昭和以降では8位タイ。

 ☆石川県 昭和以降では輪島、出島に次いで3人目。

 ☆学生出身 22年春場所昇進の御嶽海(東洋大)以来11人目。日体大からは初

 ☆負け越しなし 昭和以降では羽黒山、武蔵山(5分け含む)に次いで3人目。

《霧島&高安 3敗後退》 大の里を2敗で追っていた霧島と高安は共に敗れて3敗に後退した。豊昇龍の切り返しに沈んだ霧島は、立ち合い以降の攻めには手応えを示し「足は前へ出ていた。いい感じなので迷わずやれる」と前向き。大栄翔に一方的に押し出された高安は「はたいてしまいましたね。ベストを尽くしたい」。両者はきょう14日目に対戦する。