FIFA加盟211か国中210位の国が199位の「格上」と対戦【「世界最弱」代表チームがつかんだ20年ぶり2度目の勝利】(1)

AI要約

2024年の9月5日土曜日、サンマリノは20年ぶりの快勝を果たし、UEFAネーションズリーグの公式戦でリヒテンシュタインを1-0で破った。

19歳のFWニコ・センソリが決勝ゴールを決め、歓喜に e 呼応する試合は、記憶に残るものとなった。

サンマリノの勝利は国の象徴である白いシャツと水色のパンツを身につけたプレーヤーたちにとって歴史的瞬間であった。

FIFA加盟211か国中210位の国が199位の「格上」と対戦【「世界最弱」代表チームがつかんだ20年ぶり2度目の勝利】(1)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、小さな国の大きな勝利。

 2024年の9月5日土曜日は、この小国の人々にとって長く忘れられない日になるだろう。「世界最古の共和国」の建国を祝う祝日のわずか2日後、「世界最弱」とレッテルを貼られたサッカーのナショナルチームが、実に20年ぶり、ナショナルチームが正式に活動を始めてから2つ目の勝利をつかんだからだ。しかも20年前の「1勝目」は親善試合。今回は「UEFAネーションズリーグ」の公式戦勝利。まさに歴史が生まれたのだ。

 UEFAネーションズリーグ「D」(4部)第2組の初戦、「サンマリノ×リヒテンシュタイン」は、サンマリノ・スタジアムで9月5日の24時45分にキックオフされた。そして、後半に19歳のFWニコ・センソリが決勝ゴールを決め、サンマリノが1-0で勝利をつかんだ。

 国旗を模した白いシャツ、水色のパンツのサンマリノは、序盤から劣勢に立たされた。だが、全員守備で奮闘し、リヒテンシュタインのゴールがVARでオフサイドであるとして取り消される(観客914人の試合にVARがあることに驚く!)幸運もあって無失点でしのぎ、後半を迎える。

 その8分後、中盤右からDFジャコモ・ベンベヌティがゴール前に放り込む。リヒテンシュタインのDFがジャンプして頭に当てるがクリアしきれず、ボールは斜め後方、ペナルティーエリア内に流れる。GKが出てくる。DF足を止める。だが、GKがボールをキャッチしようとした寸前、そこに走り込んできたセンソリが2人の間に強引に体をねじこみ、右足を上げてボールに触れたのである。そしてボールは、GKの頭上を不思議な弧を描いて越え、ワンバウンドしてゴールに吸い込まれた。

 ボールを追ってゴールに入るのを確認すると、センソリは狂喜するメインスタンドに向かって走った。両手を広げ、次いで右手を挙げて歓呼に応えると、すぐにピッチ外から飛び込んできたサブ選手を含め、チームメートにもみくちゃにされた。

 この1点に力づけられたサンマリノは、その後も惜しいチャンスもつくり、実に20年ぶりの勝利をつかんだのである。