【川崎が苦しみながらも甲府に勝利した意味(2)】佐々木旭とセサル・アイダルが組んだ新CBコンビが今後もたらすもの……「ラインのコントロールはもっとうまくいく」

AI要約

川崎フロンターレはJリーグYBCルヴァンカップで逆転勝利を収めるため、苦戦しながらも最終ラインが奮闘した。

佐々木旭とセサル・アイダルのCBコンビが充実した守備を見せ、チームを勝ち上げた。

佐々木はポジションに関わらず成長を目指し、アイダルとの連携やスピード勝負でも結果を出している。

【川崎が苦しみながらも甲府に勝利した意味(2)】佐々木旭とセサル・アイダルが組んだ新CBコンビが今後もたらすもの……「ラインのコントロールはもっとうまくいく」

 JITリサイクルインクスタジアムのピッチで、川崎フロンターレの選手は苦しんでいた。18時キックオフの試合の最初の45分間は、攻撃も守備もうまくはまらず、間延びする時間も過ごさなければならなかったのだ。

 JリーグYBCルヴァンカップ プライムラウンド準々決勝の第2戦。第1戦でヴァンフォーレ甲府に1-0で勝利していたとはいえ、試行錯誤の中で失点してしまったのが前半31分のこと。これでトータルスコアが1-1となり、このまま時間が経過すれば延長やPKで決着をつけなければならなかった。

「点を取れない中でも、相手のカウンターを怖がらずにやれたのは成長ですし、自分も腹をくくっていたというか、それ(カウンター)でやられたらしょうがないくらいの気持ちで見ていましたが、後ろの選手がよく頑張ってくれました」

 鬼木達監督が言うように、佐々木旭とセサル・アイダルが組んだCBコンビを中心とした最終ラインが体を張って守ったことで、遠野大弥の土壇場の同点ゴールがチームを勝ち上がりへと導いた。アイダルにとってはこれが、日本国内での公式戦2試合目。佐々木旭とCBを組むのは、これが初めてのことである。

「カバーリングの場面ですごいスピードがありましたし、練習でもなかなか見えてなかった部分なのでびっくりしました」

 これは、試合後に佐々木が話したアイダルとのプレーについての感じたことの一つだ。

 2人は第1戦でも先発出場しているが、佐々木は左サイドバックと右サイドバックの2つのポジションで出ており、CBとしてのコンビを2人は組んではいなかった。JITスタジアムで初めてのタッグで互いに探りながら、流れの中では失点を許さなかった。

 そして、「ラインのコントロールはもっとうまくいくと思うので、4人で迫力を持ってラインを上げるところは、自分がしっかり声を出して4人で合わせていければいい」と、新たな戦力の融合について佐々木はこう手応えを掴んでいる。

 他方、佐々木はアイダルが左CBに入ることで右CBに入る機会も多くなると見込まれる。ここまでポリバレントさを存分に見せる佐々木も「右(CB)の方が難しい」と話すが、「さまざまなポジションで出ることで自分が成長できると思う。“あいつはどこで出てもすごいね”って言われるようなプレーをやっていきたい」と、さらなる成長を目指す。

 その頼もしさは、この日の他のプレーにも見られた。アダイウトンとのスピード勝負でのマッチアップ場面はその一つ。J1でも圧倒的な強さと速さを見せた相手に、佐々木は難なくその動きを封じて見せた。

 筆者が話を向ければ、「ふつうの選手なら最初の段階で体を当てて取れるシーンかなと思ったんですけど、体を当てて入れ替わられたらやばいなって思わされるぐらいの迫力があったので、そういう選手にも勝てるように頑張ってやりたい」と謙虚に振り返り、誇ることもなく自分に矢印を向けてみせた。