エディージャパン熟成を加速させる2人 「まさに日本の9番に相応しい」23歳と25歳、若きHBコンビの奮闘を検証

AI要約

日本代表がアメリカ代表を下してPNCプールB組を2戦全勝で1位通過し、サモア代表戦に挑む。若手HB団が活躍し、エディー・ジョーンズのコンセプトに沿ったプレーを披露。

藤原忍と李承信の活躍が目立ち、攻守においてチームを牽引。若手の成長と力強いプレースタイルが注目される。

藤原は速いパスさばきと運動量で存在感を示し、日本代表でのポジションを確立。若手HBコンビの進化がチームの強化につながっている。

エディージャパン熟成を加速させる2人 「まさに日本の9番に相応しい」23歳と25歳、若きHBコンビの奮闘を検証

 ラグビー日本代表は7日に埼玉・熊谷でアメリカ代表を41-24で下して、パシフィックネーションズカップ(PNC)プールB組を2戦全勝で1位通過。今週末の15日、東京・秩父宮で決勝進出をかけたサモア代表戦に挑む。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が掲げる「超速ラグビー」の完成へ課題を露呈しながらも、チームは段階的に精度、一貫性を高めて、前節でのテストマッチ初勝利、そして2連勝という結果を残した。熊谷で進化を見せたのがSH藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、SO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)のHB(ハーフバックス)団によるゲームコントロール。エディージャパンの熟成を加速させる平均24歳のコンビの奮闘を検証する。(取材・文=吉田 宏)

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 ワンステップずつ力を積み上げる第2次エディージャパン。ここまでのコラムで触れてきたように、まだ模索が続く「超速」というコンセプト、そして若手重用による試合運びやスキル精度の未熟さも響いて苦戦が続く中で、カナダ、アメリカとようやくテストマッチ2連勝を果たした。

「PNC2試合を望んでいた形で勝ち進むことが出来たと思う。もちろん、まだまだ修正点はあるし課題も山積みですが、アメリカ戦に関しては藤原、そして李がとてもいいプレーをして、チームを一歩前へ進める手助けをしてくれたと実感しています」

 この日の日本はFWを中心に取り組んできたダブルタックルで、アメリカの強みでもあるフィジカルの強さに対抗。攻めては、エディーが語ったように、25歳のSH藤原、23歳のSO李という若いHB団が、前節まで以上にラン、パス、キックと好判断でゲームを組み立てチームをテスト連勝へ導いた。

 第2次エディージャパンで初めて代表入りした藤原だが、この試合ではキックオフから常に密集近くにいち早く駆け寄り、素早い球出しを続けた。キックオフ9分のアメリカのオープン攻撃では、カバーディフェンスからファンブルボールを足にかけて切り返すなど高い機動力を披露。15分のチーム初トライでは、李が上がりすぎていた相手防御の背後に好判断のチップキックを上げてCTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)―ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ)の連携で仕留めたが、インゴールまでサポートランをしていた藤原の運動量が光った。38分には、敵ゴール前ラックからの高速パスアウトでトライを演出している。

 最終学年で大学選手権を制覇した天理大時代から速いパスさばき、ワークレートで定評のあった藤原は、日本代表でも試合を重ねる毎に「らしさ」を見せ始めている。新体制での初戦となった今年6月のイングランド戦に途中出場で代表デビュー。当初はベンチスタートが続いたが、初先発したカナダ戦から李とのコンビで連勝に貢献する。

「チームに(自分が)フィットしているというか、承信(李)にも助けられているところもあります。練習の映像を観たりとか、常に2人でいる時間が増えたからコンビネーション的には良くなっているのかなと思います」