大の里ヒヤヒヤの白星「先のことは考えず、目の前の一番に集中」大関昇進目安へ残り11勝

AI要約

関脇大の里が白星を挙げて大関昇進への第1歩を踏み出す

大の里が際どい勝負で勝利し、大関昇進目安に近づく

大の里が先場所の反省を生かし、前向きに取り組んでいる様子

<大相撲秋場所>◇初日◇8日◇東京・両国国技館

 関脇大の里(24=二所ノ関)が、ヒヤヒヤの白星で大関昇進への第1歩を踏み出した。東前頭2枚目の熱海富士戦は、物言いがつく際どい勝負だったが、行司軍配通りに、はたき込み。大関昇進目安の「三役で3場所33勝」に今場所12勝で到達する中、土俵際で貴重な星を拾った。大関昇進を過剰に意識して連敗発進だった先場所とは一転、所要9場所の最速大関昇進へ追い風を感じる大きな1勝となった。

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 最後はもつれて、土俵下で天を仰いだ。押し込まれてバランスを崩しても、運動神経の良さが大の里を救った。左足だけを俵の上に残し、熱海富士を前のめりにばったりとはわせた。物言いがついたが「残っている感覚はあった」と、軍配通りの結果にうなずいた。「勝つのと負けるのでは違う。先場所は初日に負けているので、入りが大事と思っていた。勝てたことが大きい」と、かみしめた。

 先場所も成績次第では、大関昇進の可能性があったが、初日から2連敗など序盤につまずいた。「大関」の2文字を意識していたことを認め「それで先場所、痛い目を見た」と話しており、硬さを取ることに注力してきた。その前夜は、兄弟子の白熊らと一緒に、部屋からほど近い何度も通っているすし店で舌鼓を打った。普段通りに生活した。

 優勝した夏場所と同じように「もう1度、攻める意識を忘れずに」と、朝稽古後に宣言していた。1歩、前に出たことで薄氷の白星につなげた。取組後は「良くない相撲でも勝ちに結び付いたのは、何かしらがよかった」と、大関昇進への追い風を感じられるほど、前向きになる白星だった。

 一方、普段以上に熱のこもった稽古も積んできた。今月2日には師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と、17番にも及ぶ異例の三番稽古で10勝7敗。「立ち合いの駆け引き、タイミングのずらし方が本当にすごい」と、学ぶことが多かった。右の相四つ、互いに恵まれた体の熱海富士との、紙一重の差につながった。大関昇進目安へ残り11勝も「先のことは考えず、目の前の一番に集中」ときっぱり。9勝止まりの先場所とは一味違う。【高田文太】