【山田久志】阪神のなりふり構わぬ戦いが「まだまだいけるぞ」と思える勝ちにつながった

AI要約

阪神は下位に沈んだ中日、ヤクルトと続く6連戦にとりこぼすわけにはいかない。トラの高橋遥、ドラの高橋宏の投げ合いは、序盤から明暗を分けた。

高橋遥は6回まで打者19人に対し、13人までがゴロアウトだった。2点リードの7回1死一、二塁も、石川昂を遊ゴロ、村松を空振り三振に抑えた。

阪神がもう負けられないのは、バント、バント、バントと、なりふり構わぬ戦いが示した。それが「まだまだいけるぞ」と思える勝ちにつながった。

【山田久志】阪神のなりふり構わぬ戦いが「まだまだいけるぞ」と思える勝ちにつながった

<阪神4-1中日>◇3日◇甲子園

 阪神は下位に沈んだ中日、ヤクルトと続く6連戦にとりこぼすわけにはいかない。トラの高橋遥、ドラの高橋宏の投げ合いは、序盤から明暗を分けた。

 山田 もともと高橋遥という投手はゴロを打たせてとるタイプではない。球質の良いストレートで、三振かポップフライを打たせるほうだ。それが立ち上がりからことごとくゴロでアウトをとり続けた。逆に中日はすっかり“ゲーム勘”を忘れているかのようだった。台風10号でDeNA3連戦を含む4日間もゲームがなかった影響だろう。ほとんどの打者が高橋遥の投球にタイミングが合わずに打たされたのは、中日サイドのゴロの多さにも表れた。

 高橋遥は6回まで打者19人に対し、13人までがゴロアウトだった(1併殺含む)。2点リードの7回1死一、二塁も、石川昂を遊ゴロ、村松を空振り三振に抑えた。

 山田 高橋遥をネット裏から生で見るのは久しぶりだった。威力は前ほどではないが、制球力の高さは相変わらずだった。力で押さえ込みにかかるとボールは高低にぶれるものだが、それがない。7回のギアの入れ方も見応えがあった。梅野が高橋遥の良さをうまく引き出した。梅野をいうのなら2回無死一、二塁でバスターを決めたのも勝因だ。あそこは中日高橋宏を相手に三塁側にバントを成功させるのは難しい。それをバスターに切り替えたベンチの作戦も的中した。一方、高橋宏は高めにぶれたことからも不調は明らかだった。

 阪神は巨人、広島の上位2チームが敗れたことでじわっと近寄った。

 山田 阪神がもう負けられないのは、バント、バント、バントと、なりふり構わぬ戦いが示した。それが「まだまだいけるぞ」と思える勝ちにつながった。現実的に残り試合、負け数などを考えると厳しいのは事実だ。しかし、巨人も、広島も、優勝を狙うチームはここからが本当の苦しみを味わうことになる。

 【取材・構成=寺尾博和】