【甲子園】決勝戦が始まる整列の直前に関東第一・中里駿介がいきなりその場でかがみ込んだ理由

AI要約

関東第一の選手が整列中にゴミを拾う姿について述べる

選手たちのチームプレーへの姿勢と意識の高さについて紹介

関東第一の選手が甲子園での経験や感想を語る

【甲子園】決勝戦が始まる整列の直前に関東第一・中里駿介がいきなりその場でかがみ込んだ理由

<全国高校野球選手権:京都国際2-1関東第一>◇23日◇決勝◇甲子園

 関東第一・中里駿介内野手(3年)は試合前の本塁上での整列へ、われ先にダッシュした。立ち止まって並ぶかと思ったら、一瞬だけ身をかがめた。

 2時間以上たって、無念にも準優勝が決まってから謎が解けた。

 「パッと足元を見たら、ゴミが落ちてたんで。なんかラベルみたいなのが」

 ささっと立ち上がり、整列し一礼。拾い上げたラベルはポケットにしまい、ベンチに戻ってからゴミ箱に捨てた。

 「落ちてたら、見て見ぬふりはいけないので」

 大注目の決勝戦。その整列で一瞬だけ違和感のある動きをしてまで、突き動かされる理由がある。

 「それで(打球が)イレギュラーとかして負けたくないですし。そういうのがプレーの邪魔になってしまうのはイヤなので」

 この春に低反発バットが採用され、どん詰まりのゴロや、変な回転をするゴロが増えた。確かに、マウンド周辺の地ならしは大事な作業ではある。ただ中里は投手ではないし、スタメン出場でもない。それでも突き動かされる。

 「チームのためにというか。例えば誰かがエラーしても、野球はチームプレーなので、誰か1人の責任にはできないので」

 米沢貴光監督(49)は「誰もがホームランを打てるわけじゃない。でも全力疾走ならみんなできる」と言う。気付いたらゴミを拾うのも同じこと。「全員が全員、下級生もみんな、誰でもできることは徹底してやらないといけないので」(中里)と、思いは全員に根付く。ノックをたくさん受けていることだけが、甲子園をわかせた関東第一の堅守の源ではない。

 一塁コーチャーで声をからした決勝は、最後に代走での出場機会が巡ってきた。最後は三塁走者として。自分がホームに生還すれば試合はまだ続いたが、願いはかなわなかった。

 でも閉会式が終わったころにはもう涙は乾き、仲間たちに愛される笑顔が戻っていた。

 「もう、最高の舞台でした。周りを見渡せば、なんかもう、観客の皆さんが応援してくれますし、グランドも広いですし。土も、とてもいい土で」

 黒土と緑のツタと青空と。美しい甲子園球場を一生忘れない。【金子真仁】