【競輪コラム】坂口楓華 万全の状態でなくてもファンの期待に応えたい オールスターで一皮むけた

AI要約

オールスターに初出場した坂口楓華がファンの期待に応えて果敢に走り、決勝まで進出。緊張感漂う舞台で自分らしい走りを見せ、ファンに感謝の気持ちと底力を示した。

状態が万全ではなかった坂口だったが、ファン投票13位で選出されたことに感謝し、決勝まで頑張った。痛みを抱えながらも最後まで諦めずに走り抜く姿勢を見せた。

結果は佐藤水菜、太田りゆら五輪選手には及ばなかったが、次に向けて勝利を目指して意気込みを語る坂口。ファンに恩返しするため、更なる成長を目指す。

【競輪コラム】坂口楓華 万全の状態でなくてもファンの期待に応えたい オールスターで一皮むけた

 オールスターはファンのための大会。好きな選手を車券だけでなくファン投票でも推して、大舞台で走る姿を堪能する。選手もその期待に応えるように奮起する。特に女子は出場14人全員がファン投票で決定。ファンの力なくして出場することはできない。そんな大きな期待に熱い走りで応えたのが坂口楓華(26=愛知・112期)だった。

 ガールズグランプリに2度出場するなど実力は申し分ないが、オールスターには縁がなかった。ただ、今回はファン投票13位。強気な走りが認められ、初めて念願の舞台に立つことを許された。坂口は「自分の力では絶対に走れない。ファンの方に感謝して走りたい」と前検日から気合十分。走りで恩返しをすると誓った。

 ただ、万全の状態ではなかった。「左側の腰痛が出て…」と直前の高松を欠場。「調子はいい時に比べると物足りないかな…」と状態についてはトーンは上がらなかった。完璧な状態ではなくともファンの期待に応えたい。5023票が坂口の背中を押す。感謝の気持ちと底力で、何とか決勝にたどり着いた。

 結果は佐藤水菜、太田りゆの五輪組に力の差を見せつけられた。それでも打鐘過ぎから果敢にアタック。自分の走りを貫き、見せ場をつくった。「最終バックを取ってレースを支配するという走りを評価してもらってオールスターに出られたと思っている。自分らしい走りをせずに終わりたくなかった」。ファンあっての競輪、そしてオールスター。不安で弱気になりそうなところでも“らしい走り”でアピールした。

 もちろん次は勝つ。「もうちょっとなんです。逃げて11秒台で上がれれば…」とビジョンは見えている。圧倒的な差をつけられた。ただ、レース直後から坂口は“勝てへん…”ではなく“負けへん!”と前を向いていた。ファンに結果で恩返しする日は近い。(渡辺 雄人)

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の29歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪1本に。愛犬の名前は「ジャン」。オールスター決勝は窓場が優勝なら大もうけだったが裏目で…。