【甲子園】湯船での一体感が鉄壁守備生んだ 関東第一「我慢して」耐えて、耐えて接戦制し8強

AI要約

関東第一が8強進出のために明徳義塾との接戦を制し、5年ぶりに勝利。堅守を見せてピンチをしのぎ、準々決勝へ進出。

好守の理由は選手の丁寧なノックと相手打者の特徴を把握し、守備位置を調整すること。上下関係の良好さも守備力向上に寄与。

米沢監督と馬淵監督の名将対決で、米沢監督が3度目の対戦で初勝利。準々決勝の組み合わせ抽選で次の対戦相手が決定。

【甲子園】湯船での一体感が鉄壁守備生んだ 関東第一「我慢して」耐えて、耐えて接戦制し8強

<全国高校野球選手権:関東第一3-2明徳義塾>◇16日◇3回戦

 関東第一(東東京)が好守連発で明徳義塾(高知)との接戦を制し、5年ぶりに8強に進出した。1点リードの7回1死一、二塁、2死二、三塁と2者連続で安打性のゴロが内野間を襲ったが、堅守で外野には通さなかった。準々決勝では東海大相模(神奈川)との関東対決に臨む。

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 耐えて、耐えて、耐え抜いた。関東第一の鉄壁守備で接戦を制した。米沢貴光監督(49)は「本当によく我慢して耐えてくれた」と、選手たちをたたえた。

 3-2の7回。連打で無死一、二塁のピンチを迎えた。相手は4番に代打を告げて犠打を指示。1点を取りに来た。速球派の坂井は140キロの直球で押し込み、簡単には犠打をさせない。3球目の147キロ直球を投前に転がされたが、素早く三塁へ送球し三封。そつのないプレーに、場内は大きく沸いた。

 好守はまだ続く。二塁手の小島が一、二塁間を抜けるかという強い当たりを好捕。素早く起き上がり、一塁への正確な送球で2死目を奪う。なお二、三塁で三塁手の高橋は三塁線のボテボテのゴロを見送りファウルに。捕っても内野安打の可能性が高く、見送ってフェアなら逆転のリスクもあったが冷静だった。さらに外野に抜けそうな三遊間のゴロをアウトにしてピンチをしのいだ。

 堅守の理由は日々の丁寧なノックはもちろん、相手打者の特徴を把握し、配球や投げるコースを見て打球方向を予測し、共有しているから。捕手の熊谷は「捕手のサインを見て守備位置は動いている。打たせたいのがあるので、そこに打たせたらラッキー」と話す。

 上下関係の良好さも関係している。野球部では、スマートフォンは登下校時間以外使用できない。それゆえに自然と部員間で会話する時間が増えるという。坂井と中堅の飛田がはやらせたブームも一体感を高める。映画パイレーツ・オブ・カリビアンの中で海賊たちが歌う「ヨーホーヨーホー」を、1日の練習終わりに湯船につかりながら全員で大熱唱する。罰ゲームではなく、自然発生的に一発ギャグも行われ「お風呂の時間が一番リラックスできる」と高橋主将も笑顔で話す。

 初の全国制覇まであと3勝。鍛え抜かれた美声で、あと3回校歌を響かせる。【佐瀬百合子】

 ○…米沢監督が明徳義塾の馬淵監督と3度目の対戦で初勝利を挙げた。08年センバツの1回戦で1-3で敗れ、14年センバツの2回戦では2-3と敗れた。両監督ともにそれぞれの学校で長く指揮を執り、伝統を築いてきた名将対決。米沢監督は「馬淵さんは高校野球を引っ張られている。まだまだ自分自身も学んでいきたいと思います」と力を込めた。

 ◆準々決勝組み合わせ抽選 8強入りを決めた3回戦の勝利チーム4校が準々決勝の組み合わせ抽選を行った。各チームの主将が試合終了直後にくじを引き、組み合わせが決まった。準々決勝後には、準決勝の組み合わせ抽選が再度行われる。