【虎になれ】失策どうこうより巨人戦でもっと打て 100周年記念カードのように

AI要約

岡本和真の逆シングルでの決勝点が巨人の勝利を決定づけた。

佐藤輝の適時失策が目立つが、微妙なプレーであった。

阪神は打力不足に悩まされ、巨人戦では投高打低の傾向が顕著になっている。

<巨人1-0阪神>◇12日◇東京ドーム

 虎党が頭を抱えるであろうシーンは1回裏に起こった。2死二塁で巨人の4番・岡本和真は三塁線を襲う鋭い当たり。これに佐藤輝明が反応する。逆シングルで捕球し、一塁へ送球した。だがボールは大山悠輔の手前でバウンド。悪送球の適時失策となった。

 西勇輝、山崎伊織の好投もあって両軍に入った得点はこの1点だけ。京セラドーム大阪でなんとか広島から1勝をもぎとり、東京ドームに乗り込んだ阪神にとっては痛い敗戦となった。 ここに来て失策、悪送球の目立つ佐藤輝だ。話だけ聞けば「また、やったんかいな」と思う人もいるだろう。しかし現場で見ていれば、なかなか微妙なものだった。指揮官・岡田彰布も大声を出してワンバウンド送球を指示したという。佐藤輝の失策は記録員が判断したものだが、はっきり言って、どちらのミスとも受け取れるものだ。

 内野守備兼走塁コーチの馬場敏史も「お互いさまやね。欲を言えば捕りやすいワンバウンドがよかったけど」-。要するにアウトにできれば美技になった難しいプレーだった。これに関しては不運だったとしか言いようがない気もする。

 そもそも、この日に限って言えば、そこが焦点ではないのでは、と思ってしまう。佐藤輝の失策は確かに目立つし、特に適時失策はよくない。それでも内野手、特にサードにミスはつきもの。大事なのはそれをチーム全体でどうカバーするか、のはずだ。

 とにかく、もっと打て! と思う。特に打球が飛ぶとされる東京ドームで打ってほしい。交流戦を除き、阪神の対戦打率で巨人戦はワースト2位のチーム打率2割2分9厘だ(ワーストは広島戦)。逆に防御率は1・83で、セ・リーグでは巨人にもっとも打たれていないことになる。

 序盤から続いていた「投高打低」の傾向は巨人戦でもっとも顕著になっていると言えるかもしれない。だが、いい面もある。カード別でもっとも本塁打しているのは巨人戦で10本だ。うち東京ドームでは半分以上の6本を放っている。本塁打の多くない阪神にしては打っている方だろう。

 ここでも時折、細かい話を書くので恐縮ではあるけれど、1つの失策どうこうよりスカッとするものを見せてくれという話だ。100周年記念カードの前回、甲子園ではガンガン打ったではないか。順位どうこうはそれからのことだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)