「Jリーグはサッカーの敵を撲滅すべし」2つの緊急提言(3)スペイン側からも批判が出た細谷真大「同点ゴール」取り消しと導入したい「チャレンジ制」

AI要約

サッカーの美しさと問題点について述べられた記事。審判に対する選手たちの異議やVARの運用に関する提言がある。

現在のVARの問題点や改善点が指摘され、チャレンジ制導入を提案している。

チャレンジ制の具体的な方法や問題点に対する解決策が述べられている。

「Jリーグはサッカーの敵を撲滅すべし」2つの緊急提言(3)スペイン側からも批判が出た細谷真大「同点ゴール」取り消しと導入したい「チャレンジ制」

 サッカーは美しいスポーツであるが、そうではない部分も存在する。審判に選手たちが執拗に異議を唱える場面も、そのひとつだ。観る者をげんなりさせる「サッカーの敵」とも言うべき試合のワンシーンを消し去る2つの方法を、サッカージャーナリスト大住良之が提言する。

 と同時に、VARの「プロトコル(実施手順)」の全面的な見直しも、こうした醜い事態を解消するのに役立つのではないか。

 VARは90分間のすべてをチェックしているが、実際に判定に「介入」できるのは、前述の4つの状況に限られている。すなわちファウルの判定のミスがあっても、それが得点やPKや退場に結びつかない限り、介入はしない。してはならないのである。しかし、選手たちはひとつのファウルにも強く反応し、それが異議や取り囲みにつながる。

 その一方で、失点したチームが何の異議も示していないのに、VARが小さな「反則」を探し出して得点を無にすることもある。

 もちろん私は、パリ・オリンピックの男子準々決勝、日本対スペインの前半終了間際の細谷真大の「得点」の話をしている。

 パーフェクトと言っていい美しい攻撃から、信じ難いテクニックと身のこなしで生まれたゴール。スペイン選手たちも、誰もが「やられた」と思った。ところがVARは、藤田譲瑠チマがパスを出した瞬間に、細谷のシューズのかかとが、スペインのゴール側から細谷に体をつけてマークしていたスペインDFの体よりわずかに出ていたことを見つけ出し、ゴールの判定を取り消したのである。

 この判定には、スペインメディアからも批判が出たという。現在のVARの運用から見れば100パーセント正しいかもしれない。しかし、サッカーとして正しいかどうか。

 こうしたことをなくすためには、原則としてVARを「チャレンジ制」にするしかないのではないか。それぞれのチームに、1試合2回の「チャレンジ権」を与え、成功すればその回数を保持できるという、他の競技で普通に行われている方法である。

「原則として」とあるのは、ピッチ上のレフェリーも相手チームもまったく気づかないところで起こった重大な違反行為を、VARが見つけ出す可能性があるからだ。ブラジルでは、レフェリーの判定に不満を持った監督がテクニカルエリアで卑猥なポーズをとり、それを見つけたVARからの報告で退場になるという「事件」が起きている。こうしたことに対応するために、VARからのアドバイスだけでレフェリーが映像を見るという方法も残しておく必要がある。 

「チャレンジ」の対象は制限しない。たとえばPKや得点に直結しなかった場面でタッチラインを割ったかどうか、どちらのスローインかなどといった、通常なら軽微と思われるものでもかまわない。