「野球をやれて幸せでした」爪が指の中にめり込む大けが…それでも甲子園に帰ってきた背番号12の主将 8回、代打で出番

AI要約

明豊の山内真南斗主将は試合後、空振り三振で泣き声を上げた。過去の怪我からの復帰やチームへの想いが詰まった大会を振り返る。

山内は怪我から復帰し、主将としてチームを引っ張り、夏の大会への意気込みを語っていたが、代打での1打席のみ。その後も指の大けがなど苦難が続いた。

チームメートと共に苦難を乗り越えようと励む山内。主将としての責任感やチームへの献身がチームに感謝され、将来も野球を続ける意向を示している。

「野球をやれて幸せでした」爪が指の中にめり込む大けが…それでも甲子園に帰ってきた背番号12の主将 8回、代打で出番

 ◆第106回全国高校野球選手権1回戦 明豊4―8小松大谷(8日・甲子園)

 明豊の山内真南斗主将(3年)は試合後、声を上げて泣いていた。4点を追う8回、代打で先頭の打席に立ったが空振り三振。反撃の流れをつくることはできなかった。「打席に立たせてもらって流れを変えたかったけど、思うような打撃ができなかった」と高校最後の打席を振り返った。

 昨夏の甲子園は控え捕手としてベンチ入りした。秋の九州大会は正捕手として九州大会準優勝を果たし選抜大会出場を決めたが、今春の甲子園は右肩を痛め、出場は代打での1打席のみ。夏の大会を目指してリハビリに励み、6月に練習試合で復帰した。

 その復帰戦で悪夢が起こった。右手中指の先に打球を当て、爪が指の中にめり込む大けがを負い、指の中に入った爪を除去する手術を受けた。「爪も皮も全部取りました」。手術後、医師からは「夏はもう野球はできない」と告げられた。

 それでも主将として「優勝したい」と甲子園は諦めなかった。チームメートの高木真心(3年)は5月下旬に右手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し手術を受けた。復帰を目指す仲間の存在を励みに練習復帰を目指した。「練習に復帰すると捕手としてノックを受けていました。でも投げるときに痛いのか『ウッ』と声を出して投げるんです。こちらが苦しくなるほどの状況で、それでも腐らずチームのためにやってくれた」と川崎監督はチームを引っ張ってきた主将に感謝する。

 甲子園での背番号は昨夏と同じ12。試合に出られず戦力になれなかった苦しさもあったが、常に仲間を引っ張る主将であり続けた。「嫌われることを覚悟できついことも言ってきた。こんな自分についてきてくれて、みんなにはありがとうと言いたい。つらいこともあったけど、野球をやれて幸せでした」。大好きな野球はこれからも続けていく。

(前田泰子)