「ダボ叩いても…セーフティーにしては世界では絶対に勝てない」23歳で“世界一”を2度達成…楽しみすぎるパリ五輪ゴルフ代表・笹生優花の未来

AI要約

23歳の笹生優花が、ゴルフ界で注目を浴びる選手として台頭し、日本を代表する選手として期待されている。

笹生は2度の全米女子オープン優勝や2021年の東京五輪出場を経て、ゴルフ界での地位を確立している。

父親との絆が彼女の成功に繋がっており、パリ五輪での金メダル獲得に向けて期待が高まっている。

「ダボ叩いても…セーフティーにしては世界では絶対に勝てない」23歳で“世界一”を2度達成…楽しみすぎるパリ五輪ゴルフ代表・笹生優花の未来

 松山英樹の銅メダルに沸いたゴルフ界、続いて注目は女子ゴルフに向けられる。キープレイヤーは自身2度目のオリンピックとなる笹生優花だ。東京大会はフィリピン代表として出場したが、大会後に日本国籍を取得し、今大会は日の丸を背負う。23歳にして2度も全米女子オープンを制した逸材は、ゴルフ界初の金メダルをもたらすことができるだろうか。父・正和さんを取材した。【NumberWebインタビュー全3回の1回目】

 プロゴルフ界は何をもって“世界一”と称されるのだろうか。

 サッカーでは4年に一度のワールドカップで優勝することや、他の種目ではオリンピックで金メダルを取ることなどが一般的にも分かりやすい。ゴルフ競技でも2016年リオデジャネイロ五輪で112年ぶりに復活し、パリ五輪でも開催されるが、金メダルを獲ったからといって頂点に立ったというのもなんとなく違う。

 年間通して行われる各国ツアーは変わらず毎週開催されており、出場する選手たちとっても五輪は一つの大会に過ぎないのだ。

 そんな、ゴルフ界において最も権威のある称号と言えるのが「メジャー大会」の優勝だ。各国ツアーの中で高い格式と歴史を持った大会が存在し、なかでもプロゴルファーの誰もが優勝したいと憧れるのが米女子ツアーの「全米女子オープン」である。

 いわば“ゴルフ界の世界一”という称号を、なんと23歳の若さで2度も得ているのが日本人の父とフィリピン人の母を持つ笹生優花だ。

 アマチュア時代からフィリピン国内や各国のジュニア大会で結果を残し、日本ツアーの「宮里藍サントリーレディス」には5年連続でアマチュアとして出場。2018年ジャカルタアジア大会ではフィリピン代表として出場して個人、団体で金メダルを獲得している。2019年に日本のプロテストに一発合格し、2020年に日本ツアーでいきなり2勝。男子ゴルフ界のスター選手、ロリー・マキロイにも似たパワフルで豪快なスイングにはゴルフファンをアッと驚かせた。

 そして2021年の全米女子オープンで、日本の女子ゴルフ界のエースとも言われた畑岡奈紗とのプレーオフで勝利し、メジャー初優勝。同年に開催された東京五輪にはフィリピン代表として出場した。さらに今年6月には3年ぶりに再び全米女子オープンを制覇。同大会で2勝を挙げた最年少記録を樹立し、日本勢の海外メジャー大会2勝も史上初となった。今勝利でパリ五輪への出場権を獲得し、今回は日本代表として出場する。

 そんな笹生のゴルフ人生を支えてきたのは父・正和さん(66歳)。躍進の裏には、父と娘の二人三脚で歩んできた“親子の物語”がある。

「ここに優勝トロフィーが入っているんだよ。見せてあげたいけど、今はカギがなくて開けられなくてね」

 笹生の父・正和さんはそう言って笑った。アメリカから日本に輸送してきたという歴代優勝者の名が刻まれた「全米女子オープン」の優勝杯。大きく頑丈なボックスと厳重な施錠を見るだけで、これがどれだけ価値のあるものなのかが分かった。

 一時帰国した正和さんに案内された広いフロアには、トレーニングルーム、ゴルフクラブをフィッティングできる工房、アプローチとパター練習場、完全防音のショット練習場が備えられていた。すべて娘のためにお金をかけて作った施設であることは聞かなくても理解ができた。