勝利目前、エースが暗転 逆転負けに失意の張本智―卓球〔五輪〕
卓球男子団体のスウェーデンとの準決勝は、張本智がケルベリに逆転負けを喫し、金メダルへの挑戦権を失う厳しい結末となった。
張本智は第2試合でモレガルドに圧倒するも、脚がつり試合での不調によりいつも以上の出力が求められてしまい、力尽きた。
しかし、張本智は悲痛な心境を抱きつつも、3位決定戦に向けて立ち上がる覚悟を示している。
卓球男子団体のスウェーデンとの準決勝。
最終試合にもつれ込んだとはいえ、日本には好調の張本智がいる。ゲームカウント2―0と一気に押し切るかに思われたが、様子がおかしい。脚の曲げ伸ばしをし始めた。
それまでの力強い打球は影を潜め、淡泊なミスが目立つ。左脚がつりかけていた。格下のケルベリに、あと1ゲームのところから逆転負け。金メダルへの挑戦権を失った。
「現実を受け止めたくない」。エースは非情な結末から目を背けたかった。しばらく立ち上がれない張本智に、田勢監督が何度も声を掛けた。「何も恥ずかしいことはない。胸を張りなさい」
第2試合はほぼ完璧だった。今大会シングルス銀メダルのモレガルドとの対戦。準々決勝では台湾のエースに敗れた張本智だけに、この日こそはとの思いもあったのだろう。中陣から強烈な両ハンドドライブをたたき込んで圧倒。ただ、いつもより強引に攻めにいっているようにも映った。
脚がつる試合は昨年からしばしばあった。体重増加が原因だと考え、食生活を改善したり、ランニングに励んだりし、最近は改善傾向にあった。だが、ここではどうしてもプレーが普段以上の出力となってしまう。「頑張れば報われる舞台ではない。運に任せるところも半分以上ある」という五輪で、勝負の女神はほほ笑まなかった。
1日空けば3位決定戦はやって来る。「頑張りたくない。もう力は残っていない。でも、やるしかないって言うしかない」と悲痛な心境を明かした張本智。これまでも何度も涙に暮れ、そして立ち上がってきた。決戦までに心を奮い立たせられるはずだ。
