【陸上】女子やり投げ北口榛花「1投で通過できる力あったホッとした」苦手な向かい風でも力示す

AI要約

北口榛花が一投で予選を通過し、金メダルに向け好発進

五輪中も落ち着きを保ち、周囲への気配りも忘れない

自信を持ちつつも、決勝に向け冷静な姿勢を崩さず

【陸上】女子やり投げ北口榛花「1投で通過できる力あったホッとした」苦手な向かい風でも力示す

<パリオリンピック(五輪):陸上>◇7日◇女子やり投げ予選B組◇フランス競技場

 “一発快投”で金メダルへ好発進した。陸上女子やり投げで昨夏の世界選手権金メダルの北口榛花(26=JAL)が、予選B組での1投目で決勝進出ライン(62メートル)を上回る62メートル58をマーク。12位だった東京五輪に続き、2大会連続で決勝進出を決めた。最初の投てきから力を示し、全体7位で予選を通過。日本女子トラック&フィールド種目初の金メダルがかかる10日の決勝へ弾みをつけた。

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 一発で決めた。予選B組2人目で登場した北口の1投目。パリの青空へ放ったやりは、決勝進出ラインの62メートルを悠々と超えた。いつも通り、跳ねながら喜んだ。「もうちょっと練習したかった」と笑いを誘いつつ「1投で通過できる力があったとホッとした。今まで必死すぎたので」と安堵(あんど)の表情。金メダル候補で迎える五輪でも、自然体は変わらなかった。

 7月26日に開幕した五輪。拠点とするチェコで各競技の試合を見るたびに心が落ち着かない。友人のサニブラウンが出場した男子100メートルでは「走ってもいないのにアドレナリンが出ちゃった」と大興奮。寝ようとしても今度は自分の投てきが頭から離れなかった。

 ただ、世界女王はそれを制御する術を身につけている。予選前日からは五輪中継をシャットアウト。夜9時に布団に入り「爆睡できた。(昨夏の世界選手権より)全然緊張しなかった」と心は静まった。迎えた予選。苦手な向かい風にも「慎重に」と動じずにビッグスローを見せ「すごく自信になった」とうなずいた。

 余裕があるからこそ、周囲にも目が行き届く。試合前には同じ日本勢の上田や斉藤へ「頑張ろうね」と声をかけ、取材エリアに現れると「すみません」とまずは仲間の投てきを見守った。3日後の決勝も冷静に見据えた。「今日はあまり良くなかった選手も戻ってくる。良かった選手も仕上げてくる。その中で今年のベスト(65メートル21)は絶対に投げたい」。あえてメダルは口にせず。自分の歩調で、新たな歴史を切り開く。