【千葉魂】休日練習後ヒーローに 失敗を糧にした千葉ロッテ・小川 (第431回)

AI要約

小川龍成内野手が失策を犯し、自主練習を行って悔しさを晴らす。

チームメートやコーチのサポートを受けて前を向き、次の試合でヒーローに。

失敗を乗り越えて挑戦し、成功を収めた小川龍成の姿。

【千葉魂】休日練習後ヒーローに 失敗を糧にした千葉ロッテ・小川 (第431回)

 練習休日、月曜日の午前中。本拠地ZOZOマリンスタジアムのグラウンドに小川龍成内野手の姿があった。一球、一球、丁寧にボールをさばいて投げる。それを黙々と繰り返していた。真夏のうだるような暑さの中、汗を拭いながら懸命にボールを追った。

 小川はその2日前のイーグルス戦(楽天モバイル)で試合途中から二塁で試合出場したが、二つの失策を記録していた。翌日の試合を終え、仙台から帰京する際に新幹線のプラットホームでチームスタッフの姿を見つけると神妙な表情で声をかけた。「明日、マリンにいますか? もし、よければ練習に付き合ってもらえませんか?」。チームスタッフが快諾をして、休日返上の特守を行うことが決まった。

 「エラーをした事実は変わらないけど、モヤモヤが残っている状態だと次の試合で思い切ったプレーができないと思いました。だからそのモヤモヤを晴らす意味でも練習をしたいと思いました」と、小川はオフ日に自主練習を行っていた心境をそのように話した。

 二つの失策を記録した試合、チームは勝利した。勝利のハイタッチを終えてベンチに戻ると悔しさがこみ上げてきた。だから一瞬、ベンチで下を向いたまま、動けなくなった。そんな時、コーチ、チームメートたちが声をかけてくれた。

 「結構、落ち込んで暗い気持ちになっていた。最初、コーチの皆さまに声をかけてもらって、その後もいろいろな先輩から声をかけてもらった。『大丈夫だよ』と言ってもらった」と小川は振り返る。ブルペン担当の黒木知宏投手コーチも「これまで何度、(小川)龍成の守備に助けられたことか。だから切り替えて前を向こう。必ずこの悔しさをぶつけるチャンスは来るから」と優しく声をかけてくれた。気遣ってくれるコーチ、先輩方の想いがありがたかった。だからこそすぐに悔しさをエネルギーに変え、前を向くことができた。そして、何か行動に移さずにはいられなかった。

 休日練習を行った翌7月30日に本拠地で行われたライオンズ戦で小川はヒーローになる。同点で迎えた九回二死満塁の場面で三塁側にスクイズを敢行。意表を突いたことで相手守備陣が乱れ、サヨナラ勝ちのランナーが生還した。

 「打席が回ってきたら(スクイズを)やるつもりでいた。いい形になってよかった」。ユニホームを泥だらけにしながらヒーローは笑った。ロッカーに戻ってくると「ほらね。すぐにいいことがあったでしょ」と黒木投手コーチから笑って声をかけられた。「ハイ!」。小川もうれしそうにほほ笑んだ。

 野球は失敗のスポーツとも言われている。人生もまた同じだ。大事なのは失敗した後にどのような行動をとるか。失敗を糧とできるか。小川龍成26歳、泥くさく、ガムシャラに生きている。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)