突然揺れ出した右腕 失意の吉岡「次こそは」―射撃〔五輪〕

AI要約

吉岡は精神力が強いはずだが、初めて経験するような緊張感を味わう。

予選で低スコアを出し、挽回できず失敗するが、高まる集中力を感じる。

吉岡は常識にとらわれず、経験を積み上げて次の五輪での成功を目指す意欲を見せる。

 精神力が強いはずの吉岡にとって、味わったことのない感覚だった。

 的に向かって狙いを定めると、ピストルを持つ右腕が突然上下に揺れ始めた。前半の6秒射で、大きく下に外して6点の低スコア。その後は挽回できず、「射座に立った途端、体が変わってしまった」と首をひねった。

 緊張してはいたが、それは「ありがたいこと」。集中力が高まっている証拠で、いつもの吉岡なら高得点をマークする予兆でもある。今回のような失敗は経験したことがなかった。

 初出場した東京五輪は8位。そこから表彰台を本気で目指してきた。「継続は衰退の始まり」という言葉を胸に刻み、絶えず変化を求め続けた。常識にとらわれず、アーチェリーの動作を参考にしたこともある。

 手応え十分に臨んだ大舞台で、あっけない予選敗退。「五輪の無念は五輪でしか晴らせない。次こそは」。4年後のロサンゼルス大会では40代になっているが、経験が物を言う競技。まだまだ向上する余地はあると信じている。