棄権の危機「1人でお風呂も入れない、何も左手が使えない、ドライヤーもできない」苦境はね返した早田ひな 女子シングルスで涙の銅メダル【パリ五輪】

AI要約

早田ひなが銅メダルを獲得した試合の様子や心境を綴る。

左手の負傷を抱えながらも、過酷な条件下で涙を流しながら闘った早田ひな。

早田ひなの強い意志と周囲のサポートに支えられた戦いぶり。

棄権の危機「1人でお風呂も入れない、何も左手が使えない、ドライヤーもできない」苦境はね返した早田ひな 女子シングルスで涙の銅メダル【パリ五輪】

 ◆パリ五輪・卓球女子シングルス(3日、パリ南アリーナ)

 3位決定戦で日本のエース早田ひな(日本生命)=北九州市出身=が第4シードの申裕斌(韓国)と対戦し、死力を尽くして4―2で制して銅メダルを獲得した。負傷を抱えた利き手の左前腕に痛々しいテーピング。試合前には痛み止めの注射を打って挑み、日本のエースが勝ちきり、コートに座り込んで涙があふれて止まらなかった。

 「けがをした時は部屋に戻っても1人でお風呂も入れない、何も左手が使えない、そしてドライヤーとかも何もできないっていう状況の中で、いろんな方に支えていただいた。準々決勝の後はもう朝4時までケアしてもらった。本当にみなさんができることを全てやってくれて、ここまで戻ってくることができた。もちろん準決勝、あんな試合(0―4で敗戦)になってしまったのはすごく悔しかったですけど、この状況で銅メダルを取れたっていうのは、金メダルを取るよりも価値がある銅メダルだなと思います」

 準々決勝で痛めた左手首をより使うバックに本来のパワーはなかった。それでも高い技術と戦術の幅を持つ早田の地力の高さが目立った。早い打点でコースを散らして崩し、チャンスを見て体全体で武器のフォアドライブを繰り出した。

 「(東京五輪からの)3年間の中で、何かの行動か、何かが悪かったから、ここで神様に意地悪されたのかなって。何が原因かはちょっと私は分からないですけど、何かが悪かったんだろうなっていうのは思った。でも、逆に言うと、まだ乗り越えられる試練をある意味、与えてくれたのかなと思った。きょうもほとんど試合前は練習できないような状況でしたけど、やるべきことは最後までやり切りたいと思ってましたし、最後までどんなことになっても諦めずにやると。周りの方がもう本当に必死に動いてくださってた。もうそういった方のために、最後までコートには立ち続けたいなっていうのは思ってました」とまた涙がほおをつたった。

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