壮絶に散った日本とイタリアの差 「あと1点」と自分を責めた石川祐希は「背負い過ぎていた」【加藤陽一の目】

AI要約

日本男子バレーボールチームがイタリアに準々決勝で敗れ、48年ぶりの準決勝進出を逃す。元日本代表主将の加藤陽一氏が試合を分析し、主将石川祐希の活躍や日本とイタリアの違いを指摘。

石川選手の多彩なスパイク能力やリーダーとしての活躍が光る試合だったが、試合後の自責の念が背負い過ぎに繋がったとの見方もある。

試合を振り返りながら、日本バレーボールチームの今後の課題や展望について加藤氏がコメントしている。

壮絶に散った日本とイタリアの差 「あと1点」と自分を責めた石川祐希は「背負い過ぎていた」【加藤陽一の目】

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 大会期間中、各競技のスペシャリストによる試合解説を随時展開する。今回は男子バレーボール。準々決勝が5日に行われ、世界ランク6位の日本が同2位イタリアに2-3(25-20、25-23、25-27、24-26、15-17)で逆転負けを喫し、1976年のモントリオール五輪以来、48年ぶりの準決勝進出を逃した。この試合を元日本代表主将でイタリアでプレーした経験を持つ加藤陽一氏が分析。大接戦で勝敗を分けたポイント、そして主将の石川祐希への想いを明かした。(取材・構成=荻島 弘一)

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 残念でした。日本は素晴らしかったし、あと本当に少し。ただ、逆に言えばイタリアが強かったということ。さすがに全勝でここまで来ているチーム。第3セット終盤、後がない場面で勝負強さがありました。日本に比べて、選択肢が豊富。本当にわずかでしたが、ここが日本とイタリアの差でした。簡単には勝たせてもらえませんね。

 今日の試合で素晴らしかったのは石川選手。調子が上がらなかった1次リーグと比べて、見違えるようでした。自分もイタリアでプレーしていた時は、イタリア代表と試合するのが楽しかった。自分が日本を代表して、青いユニホームのチームメートや対戦相手と戦う。ワクワクしました。準々決勝の相手がイタリアになって石川選手にスイッチが入るかと思っていましたが、その通りに見えました。

 石川選手がいいのは、引き出しの多さです。スパイク能力が高い。普段から2メートルの相手に囲まれてプレーをしている。高い壁を相手にスパイクを磨いています。それを1年中、しかも10年間もやっている。強打だけではなく、ブロックアウトを狙ったり、フェイントしたり、どうすれば得点がとれるかが分かっています。イタリアを相手に、石川選手らしさが発揮されました。

 キャプテンであり、リーダーとしても十分な活躍をしています。ただ、それを背負い過ぎていた感じもありました。試合後「あと1点取れなかった」と自分を責めていましたが、その必要はない。逆に、重たいものを背負わず、自分のプレーに徹してほしかった。それができてくれば、あと1点が取れると思います。