【バレー】金メダルの目標掲げ、東京より強くなった絆「ブラン日本」集大成、1点届かず8強で幕

AI要約

52年ぶりの金メダルを目指した男子日本代表がイタリアに逆転負けし、準々決勝で敗退。

エースの石川祐希が32得点を挙げるも、マッチポイントで逆転を許し、大会限りでの退任を明かしたブラン監督。

メンバーの信頼と共に戦った大会で、最終的には求めていた結果とは異なる結末となった。

【バレー】金メダルの目標掲げ、東京より強くなった絆「ブラン日本」集大成、1点届かず8強で幕

<パリオリンピック(五輪):バレーボール・イタリア3-2日本◇5日◇男子準々決勝◇パリ南アリーナ

 【パリ5日=竹本穂乃加】72年ミュンヘン大会以来、52年ぶりの金メダルを目指した男子日本代表の戦いが幕を閉じた。

 1次リーグ(L)1位通過の22年世界選手権覇者イタリアを2-0と追い詰めながら、そこから3セット連取を許して逆転負け。東京五輪に続き、2大会連続で8強で散った。石川祐希(28)が両チーム最多32得点でエースの仕事を果たし、第3、5セットにはマッチポイントも握ったがあと1点、届かなかった。試合後にはフィリップ・ブラン監督(64)が今大会限りでの退任を明かした。

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 自陣中央に最後のボールが弾み、イタリアは歓喜に沸いた。石川はうつむき、ユニホームで顔を覆った。「メダルを取るとずっと言い続けてこの結果。しっかりと受け止めないといけない」。金メダルへの挑戦が終わった瞬間をかみしめた。

 負けられない一戦で、確かな力を示した。1次リーグで不調にあえいでいたが、難敵を前に覚醒。サーブ、スパイクで得点を重ね続け、不振の要因ともなったレシーブでも奮闘した。そんなエースの躍動で2セットを連取。しかし22年世界王者の壁は高かった。そこから3セット連取を許し、無念の大逆転負け。マッチポイントも握ったが、あと1点が届かなかった。

 パリ五輪は、チームの集大成と位置づけた大会だった。ブラン監督が男子代表コーチに就任した17年からメンバーに名を連ねているのは、今回の12人中6人。長い時間をともにした特別な仲間たちと戦ってきた。五輪メンバー発表時の落選した選手が見せた表情は脳裏に焼き付いている。「このメンバーでやってきたという思いは、東京よりも強い」。ミーティングを開けば、ほぼ全員が「このチームなら(パリでは)そこを目指すでしょう」と、当然のように金メダルを見据えた。仲間への厚い信頼が、表彰台でメダルを掛け合うその瞬間への思いを強くさせた。

 この日は、23年3月に胃がんにより31歳で亡くなった藤井直伸さんの写真もベンチに置き、心をひとつに戦った。敗戦後のコートでつくった円陣。主将は「最高のチームだった。ここまでついてきてくれてありがとうという気持ち」と伝えた。

 1次リーグ1勝2敗にとどまり、頂点にも立てなかった。石川にとっては「求めていたものとは違う」結果で世界との差を突きつけられた。それでも今年のスローガン「ALL FOR PARIS」をやり遂げった。