ペレス残留で角田裕毅のレッドブル昇格見送り…イワン・カペリが語るチームの判断の根拠と角田への期待値

AI要約

レッドブルチームが夏休み後のドライバーラインアップを検討中で、ペレスの不調が焦点になっている。

窮地に立つペレスに代わる候補として、角田裕毅が浮上したが、今回は昇格が見送られた。

レッドブルが、トップチームでのプレッシャーや環境変化を考慮し、角田の昇格に慎重な態度を見せている。

ペレス残留で角田裕毅のレッドブル昇格見送り…イワン・カペリが語るチームの判断の根拠と角田への期待値

 夏休み前最後の一戦となったベルギーGPが終わった直後の7月29日、レッドブル首脳陣による会議が行われた。その議題のひとつが夏休みの後のレッドブルとRBのドライバーラインアップだった。巷間話題になった通り、その状況を作り出した原因が、モナコGP以降不調が続いているセルジオ・ペレス(レッドブル)にあることは言うまでもない。

 結果的にペレスは後半戦も残留することが発表されたが、ペレスの不調はリザルトがはっきりと示している。今シーズン、ペレスが最後に表彰台に上ったのは第5戦中国GP。それ以降の10戦でチームメートのマックス・フェルスタッペンが6回表彰台に上がったのに対し、ペレスはノーポイントのレースが3回あった。そして予選ではQ1敗退というトップチームとしてあってはならないミスを4回犯している(フェルスタッペンはいずれも0回)。

 ドライバーズ選手権ではフェルスタッペンが2位のランド・ノリス(マクラーレン)に78点差をつけてトップを独走しているが、コンストラクターズ選手権でのレッドブルは2位マクラーレンに42点差に迫られている。その最大の理由はペレスの不調にあることは明確だ。

 前半戦を締めくくるベルギーGPでも、ペレスは2番手からスタートしながら7位に終わり、チーム首脳陣を落胆させた。そのため、ペレスとの契約をシーズン途中で解除して、RBのドライバーのどちらか一人を移籍させるのではないかと噂されていた。なぜなら、チャンピオンシップを争うようになってからのレッドブルは、成績が伴わないドライバーを交代させる非情な決断を下してきたからだ。

 2016年にはダニール・クビアトからフェルスタッペンに、19年にはピエール・ガスリーからアレクサンダー・アルボンにと、どちらもRBの前身のチームであるトロロッソのドライバーとの交代だった。

 現在のペレスの状況もこの2例に近く、ベルギーGPを終えた時点での131点はフェルスタッペンの277点に対し半分以下にとどまっている。クリスチャン・ホーナー代表も「このようなレースが続けば、われわれにとってそれは持続不可能だ」と語っていた。

 そこで注目されたのがRBに所属する角田裕毅だった。デビューから2年間はガスリーの後手に回ったが、ガスリーがチームを去ってからの2年間は、ニック・デ・フリース、リアム・ローソン、そして今シーズンはダニエル・リカルドを上回るレースを見せてきた。彼らに対して角田は常に予選で速く、レースでも多くのポイントを獲得している。

 しかし、今回レッドブルは角田の昇格に動かなかった。元F1ドライバーで、現在イタリアのテレビ局「スカイ・スポーツ・イタリア」でコメンテーターを務めるイワン・カペリは、その理由を次のように推測する。

「ツノダは今年、確かに大きく成長した。ただしトップチームで走るなら、中小チームとはまったく異なる環境でレースをしなければならない。コース上で常に良い成績が求められるだけでなく、コース外でもチームやスポンサー企業の広告塔としてさまざまなプロモーション活動がある。当然、メディアからのプレッシャーもある。しかも、その環境の変化がシーズン途中のことならば、ドライバーはより大きな負担を強いられる。レッドブルも過去の経験を踏まえて、少し慎重になっているのかもしれない」