メダル剥奪の憶測まで浮上、ロンドン五輪で物議醸した「我が領土」 日本戦で破られた憲章の禁【オリンピック事件簿】

AI要約

2012年のロンドン五輪で、サッカー男子3位決定戦後に韓国選手が竹島の領有権主張をしたことで大問題となった事件。

国際オリンピック委員会は政治的アピールを禁じているため、選手の行動が問題視され、表彰式への出席を見合わせられた。

選手は計画的な行動ではなかったと主張し、FIFAから罰金と出場停止処分を受けた後、IOCから銅メダルを受け取ることが認められた。

メダル剥奪の憶測まで浮上、ロンドン五輪で物議醸した「我が領土」 日本戦で破られた憲章の禁【オリンピック事件簿】

 パリ五輪は連日熱戦が繰り広げられている。夏季は1896年に第1回大会が開催され、今回で33回目。数々の名場面のほか、記憶に残る“事件”も起きてきた。4年に一度のこの機会に、過去の出来事を「オリンピック事件簿」として振り返る。2012年のロンドン大会では、日韓対決となったサッカー男子の3位決定戦で勝利した韓国の選手が、観客の持ち込んだ「独島(=日本名、竹島)は我が領土」と書かれたボードを掲げて場内にアピール。これがメダル剥奪までささやかれるほどの大問題となった。

 発端は8月10日(日本時間11日)に行われた男子サッカーの3位決定戦だった。韓国が2-0で勝利した試合後、興奮した韓国のMFパク・チョンウがシャツを脱ぎ捨てて掲げたボードには「独島は我が領土」と記されていた。島根県・竹島の領有権は韓国にあると主張するメッセージだった。

 五輪憲章では、一切の政治的アピールを禁じている。各種報道写真でボードを掲げていたことが伝わると、国際オリンピック委員会(IOC)はパク・チョンウの表彰式への出席を見合わせるように求め、実際に同選手の名前はアナウンスされないまま進んだ。一時は他の選手もメダルを剥奪されるのではという観測まで広がった。

 パク・チョンウは、サポーターが持っていたボードを受け取っただけで、計画性のある行動ではなかったと主張。同じく政治的な宣伝を禁じる国際サッカー連盟(FIFA)は大会後の12月になって、国際Aマッチ2試合の出場停止と3500スイスフラン(約31万円=当時)の罰金、更に韓国サッカー協会への警告という懲戒を課した。

 さらにIOCの規律委員会は、この行動が五輪で禁じられている「政治的表現」に当たると判断。翌年2月になって、ようやくパク・チョンウへの銅メダル授与を認めている。この際にパク・チョンウと韓国オリンピック委員会(KOC)に「強い警告」を発するほどの大事件だった。