長谷川唯の絶妙スルーパスから先制点奪ったなでしこジャパン…準々決勝・アメリカ戦も彼女の縦パスがカギに【パリオリンピック】

AI要約

日本女子サッカーチームがナイジェリアに3-1で勝利し、準々決勝に進出。試合では長谷川のスルーパスや逆転劇などが見どころだった。

長谷川を軸とした攻撃的なプレー、北川や田中の初ゴールなど、若手選手も活躍しチームの幅を見せた。

次は米国との準々決勝。長谷川のパスがメダル獲得のカギとなるか注目されている。

長谷川唯の絶妙スルーパスから先制点奪ったなでしこジャパン…準々決勝・アメリカ戦も彼女の縦パスがカギに【パリオリンピック】

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◇31日 パリ五輪 サッカー女子1次リーグC組 日本3―1ナイジェリア(ナント)

 絶妙なスルーパスだった。前半22分、ハーフウエーライン手前まで下がってきた長谷川が、CB熊谷のパスを引き出す。そこから相手陣内にドリブルで進入すると、左サイドの植木の動き出しに合わせ縦パス。オフサイドラインギリギリでパスを受けた植木は、逆サイドにクロスを入れ、これを右サイドからゴール前に駆け上がってきた浜野が決めた。

 勝てば決勝トーナメント進出が決まるなでしこジャパンにとって、大きな大きな先制点だった。このゴールでペースをつかむと前半32分、植木のヘディングシュートがクロスバーを直撃し、その跳ね返りを田中が押し込み、今大会初ゴール。前半42分に1点を返されたが追加時間5分、正面やや右のFKを北川が決め、前半を折り返した。

 ブラジル戦で後半追加時間に2ゴールを挙げ、大逆転で勝ち点3を手にしたなでしこ。池田監督は中2日の超過密スケジュールを考慮し、ブラジル戦からスタメンを4人代え、今大会初出場の石川、林、北川を起用。さらに植木を今大会初先発させた。

 そんなフレッシュなチームをコントロールしていたのが大黒柱の長谷川だ。そして相手の急所を突く必殺のパスを繰り出す。現代サッカーはコンパクトな陣形を保ちながら前線からプレスをかけ、ボールを奪ったら手数をかけずに一気に崩す戦略が主流となっている。

 なでしこの長谷川同様、男子の藤田もそうだが、攻撃的なボランチが攻守のカギを握り、そこからの縦パスで一気に局面を打開するのが”ジャパンスタイル”となっており、それは世界のトレンドでもある。

 3―1として、池田監督は前半だけで長谷川をベンチに下げ、前半を休ませた長野を投入。危なげなく逃げ切り、準々決勝に備えた。ブラジル戦では途中から今大会初出場した谷川が劇的な逆転ゴールを決め、この日は初出場初先発の北川が初ゴール。ここまで不振だった田中も今大会初ゴールを決めた。

 ブラジル戦で一時は崖っぷちに追い込まれたなでしこ。しかし、追加時間の逆転劇で流れが一気に変わった。3日に行われる準々決勝の相手は米国に決まった。長谷川からの縦パスが、メダル獲得のカギをこじ開ける。(写真はAP)

 ◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)