【セルジオ越後】3連勝で無失点の首位通過も“横綱”には見えなかった大岩ジャパン。準々決勝の相手スペインには名前負けしないようにしたい

AI要約

U-23日本代表はU-23イスラエル代表に1-0で勝利し、グループステージで3戦全勝の首位通過を果たす。

グループステージでは無失点だったが、守備は特に堅くなく、小久保の活躍が目立つ。

準々決勝ではスペインと対戦し、名前負けしないように戦いたい。

【セルジオ越後】3連勝で無失点の首位通過も“横綱”には見えなかった大岩ジャパン。準々決勝の相手スペインには名前負けしないようにしたい

 パリ五輪のグループステージ第3戦で、U-23日本代表はU-23イスラエル代表に1-0で勝利した。試合前の時点でノックアウトステージ進出を決めていた日本は、前のマリ戦からスタメンを6人変更。先を見越してのことだろう。

 積極的に攻撃を仕掛けるイスラエルに対し、日本は小久保の好セーブもあり、無失点に抑えた。ピンチもあったけど、実力は明らかに日本のほうが上。細谷の1点で勝負ありだ。

 この結果、日本はグループステージで3戦全勝として首位通過。得点は7、失点はゼロ。数字的には素晴らしいね。ただ、内容的には“横綱”に見えなかった。幸運に恵まれたこともあり、手放しでは褒められない。

 5-0で勝利した初戦のパラグアイ戦では、前半のうちに相手の選手が一発レッドで退場し、長い時間を数的優位で戦えた。10人になった相手から大量点を奪えても不思議ではない。

 1-0で制した2戦目のマリ戦は、3試合のなかで最も苦戦した。それでも小久保が再三のビッグセーブを見せれば、相手のシュートのポスト直撃やPK失敗など、ツキもあった。結果的にマリは1分2敗で敗退した。そのチームに苦しんだのだから、日本は決して盤石の強さではなかったと言えるだろう。

 3試合を通じて無失点だったとはいえ、守備が特別に堅かったわけでもない。グループステージでのMVPを挙げるなら、キーパーの小久保だろう。

 ゴールを割られなかったのはフィールドプレーヤーの頑張りもあるけど、相手に決定機を多く作られていた。キーパーが一番目立つのは、たくさんシュートを打たれた証拠だから、チームとして良いことではない。

 グループステージを通過しただけでは歴史は作れない。“本当のオリンピック”とも言える決勝トーナメントでは、攻守とも相手のレベルが上がる。日本はどれだけ食らいついていけるか。

 準々決勝の相手は、スペインに決まった。A代表は直近のEUROで優勝を果たすなど、紛れもない強豪国だ。ただ、A代表とU-23代表は同じではない。日本はまず“名前負け”しないようにしたい。

 他種目を見ると、日本勢は個人種目では金メダルをたくさん取っているけど、球技の団体種目では苦戦が目立つ。日本に勢いをつける意味でも、大岩ジャパンにはぜひともメダルを獲得してほしいね。

【著者プロフィール】

セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、79歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。