競泳・瀬戸大也(30歳)が「五輪参加条件」未達でも400m個人メドレー決勝進出のナゼ…“本番”200m個人メドレーで期待ができる「納得のワケ」

AI要約

フランスのレオン・マルシャンが400m個人メドレーで金メダルを獲得し、日本の松下知之が銀メダルを獲得。

瀬戸大也が400m個人メドレーに出場する理由について疑問が呈される。

選手のメイン種目以外の種目にエントリーすることが大会で行われている事例もある。

競泳・瀬戸大也(30歳)が「五輪参加条件」未達でも400m個人メドレー決勝進出のナゼ…“本番”200m個人メドレーで期待ができる「納得のワケ」

 パリ五輪の競泳男子400m個人メドレー決勝。

 下馬評通り、地元フランスのレオン・マルシャンが世界記録に迫る4分02秒95のオリンピックレコードで1つ目の金メダルを獲得した。2位に入ったのは、今シーズン好調だったカーソン・フォスター(アメリカ)でも、ルイス・クレアバート(ニュージーランド)でも、そして瀬戸大也(CHARIS)でもなく、日本の期待の若手・18歳の松下知之だった。

 得意な最後の自由形で大逆転劇を演じて、自己ベストを1秒42も短縮する4分08秒62で銀メダルを勝ち獲った。松下に遅れること100分の4秒差で、フォスターが銅メダルという結果となった。

 予選で余力を残して3位通過を果たし、2大会ぶりのメダル獲得に意欲を見せていた瀬戸は、4分11秒78の7位に終わる。最初のバタフライこそマルシャンに迫ったものの、平泳ぎの後半から伸びを欠き、最後の自由形を迎えたときにはすでに体力は底を突いていた。苦笑いをしながら「バテバテだった」とレースを振り返る。

「とにかく400mをどう全力で泳ぎ切るかを考えていましたし、前半から攻めるためのトレーニングをしてきました。それはできましたし、やっぱりこの400m個人メドレーの決勝という舞台に立てたことが幸せでした」

 そして、気持ちを200m個人メドレーに向け、こう語った。

「最大であと3回。1レース1レース、五輪という素晴らしい舞台で泳げる瞬間を噛みしめて泳ぎたい」

 さて、ここでひとつ疑問が浮かぶ。

 なぜ瀬戸は400m個人メドレーに出場しているのか――。

 今年3月に行われたパリ五輪の代表選考会。瀬戸は400m個人メドレーで松下に敗れ、さらに派遣標準記録を突破できなかった。その後、200m個人メドレーで派遣標準記録をクリアして優勝したことでパリ五輪の代表権を獲得する。

 厳密に言えば、日本水泳連盟が定める条件下において、選考された時点では400m個人メドレーの出場権利は有していなかったのだ。

 しかし、6月に実際のエントリーが発表された際、400m個人メドレーの欄に瀬戸の名前が入っていた。瀬戸以外にも、いくつか追加でエントリーされた種目・選手がいる。リレーで選抜された男子100m背泳ぎの松山陸、男子100m平泳ぎの谷口卓、女子400m自由形の小堀倭加の3人である。

 瀬戸を含めた上記選手たちに共通するのは、すべて「選考会で選ばれたメイン種目の前に行われる種目に限ってエントリーしている」ことである。

 直近の例で分かりやすいのは、2023年に日本・福岡で開催された世界水泳選手権の鈴木聡美である。

 鈴木は派遣標準記録を突破して出場権利を獲得していたのは50m平泳ぎのみ。だが、実際には100m平泳ぎにも出場。100mで派遣標準記録を突破して代表権を獲得していた青木玲緒樹を上回る記録を本番で叩き出し、予選・準決勝を突破。メダルには手が届かなかったが、予選では自己ベストを実に14年ぶりに更新する。勢いそのままにメイン種目である50m平泳ぎでも自己ベストを更新し、決勝で7位入賞を飾った。

 さらに大会時の100mの記録が青木より上回っていたことにより、調子の良い選手を出すということで、最終日のメドレーリレーのメンバーとして泳ぐことにもなった。

 上記を冷静に見てみると、本来、鈴木は100m平泳ぎとそれに伴うメドレーリレーを泳ぐ権利はなかったはずだ。だが、実際にはエントリーし、泳ぎ、結果を残している。

 なぜ、このようなことが起こるのか。