五輪開会式「最後の晩餐」連想の演出、教会批判で組織委謝罪 仏世論85%は「式典成功」

AI要約

パリ五輪の開会式での演出に対する批判と謝罪について。イエス・キリストと使徒たちを連想させる場面が問題となり、フランスのカトリック教会などから遺憾の意が表明された。一方、開会式は成功とする声も多く、世論調査では高い支持を得ている。

開会式の演出には、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐」を連想させる要素や、歴史上の人物を取り入れたシーン、ギリシャ神話の要素などが盛り込まれていた。一方で、宗教団体や保守派からは批判の声も上がっている。

フランスの政教分離や宗教離れの背景を考えると、開会式の演出が社会的な議論を呼ぶことは避けられない部分もある。今後の大会運営において、異なる視点や価値観を尊重する姿勢が求められるだろう。

パリ五輪の大会組織委員会は28日の記者会見で、26日の開会式を巡り、イエス・キリストと使徒たちとの最後の食事の場面を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「最後の晩餐(ばんさん)」を連想させる演出に批判が出たことを受けて謝罪を表明した。一方、フランスの世論調査で「開会式は成功」とみなす意見は85%にのぼった。

「最後の晩餐」は、キリストが処刑前に12使徒と夕食をともにする新訳聖書の場面で、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画に描かれている。開会式では冠を被った女性とともに派手な女装のドラッグクイーンが食卓を囲んで登場。フランスのカトリック教会は「キリスト教に対する愚弄(ぐろう)と冷笑」があったとして遺憾の意を示していた。

記者会見で報道担当者は「宗教団体に対する軽蔑を示す意図はなかった」「誰かを不快にさせたとしたら、すまなく思う」と述べた。そのうえで、式典の演出について「寛容な共同体を称えようとした。世論調査でも示されているように、その目的は達成されたと思う」と述べた。世論調査は民間機関が実施し、仏メディアが28日に一斉に報じた。セーヌ川を式典会場にしたことを「よかった」と考える人は83%にのぼった。

開会式では、18世紀の革命で処刑されたマリー・アントワネット王妃が自分の首を持って登場する場面もあり、保守派の仏政治家やメディアからも批判が出ていた。「最後の晩餐」には、裸体を青く塗った歌手が、ギリシャ神話の豊穣と酒の神「ディオニソス」にふんして歌い踊る演出もあった。

フランスは政教分離が国是で、近年は教会離れが著しい。最近の世論調査で「宗教は持たない」とする人は51%にのぼった。(三井美奈)