【テニスギア講座】コートに大量のラケットを持ち込むトッププロ。その理由はストリングの進化にあり!<SMASH>

AI要約

プロテニスプレーヤーがなぜ多くのラケットを持ち込むのか、その理由を解説。

過去と現在のストリングの違いやプロのラケット交換の背景について詳しく説明。

新しいストリングの必要性から、プロはラケットごと交換を繰り返す。

【テニスギア講座】コートに大量のラケットを持ち込むトッププロ。その理由はストリングの進化にあり!<SMASH>

 今回は「プロのラケットの本数」に着目します。プロがあんなにたくさんのラケットを用意している理由に迫りましょう。

 ビッグトーナメントで選手が入場する際、とても大きなダッフルバッグの他に、ラケットバッグを担いだ姿がよく見られます。一般プレーヤーと違い、プロはダッフルバッグには着替えやシューズ、飲み物など、試合中に必要な物を入れ、ラケットバッグには「ラケットのみ」を入れます。

 彼らは、非常に多くのラケットを持って試合に臨みますが、それはなぜでしょう? 

 ほぼ全てのプロがナチュラルガットを使っていた30年以上前は、多くても4~5本、少ない選手だと、ストリング(※ガットの正式な総称)が切れた時の交換用として2本しか持ちませんでした。ところが現在では、少なくとも5~6本、上位選手になると8~10本くらい持ち込むのが常識となっています。

 

 以前にプロが張っていたナチュラルガットは、伸縮性の維持性能が高いため、長時間にわたり1本を使い続けるという選手が多かったのです。しかし現在では、ハイブリッドも含めるとほぼ全てと言っていいくらいのプロが、ポリエステル系のストリングを張っています。

 その理由を挙げると、以前よりもラケットフレームの反発性能が向上し、ナチュラルガットでは飛びすぎてコートに収まらないこと。ポリエステル系ストリングは、猛烈なインパクトでは驚くべき瞬発性を発揮すること。加えてスピン性能にも長けていること...などのメリットがあるからです。

 ただ、プロにとって夢のような性能の恩恵を受けられるのは、わずか“1セット”くらい。それで「プロにとっての性能寿命」は終了してしまうため、彼らは新しいストリングが張ってあるラケットに持ち替えるのです。つまり、彼らにとって必要なのはラケットフレームではなく「新しいストリング」ということです。

 ストリング面だけ交換できれば、何もあんなにたくさんのラケットを持ち込む必要などないのですが、それが叶わない以上、ラケットごと交換するしかないわけですね。