57歳、白髪が目立ってもカズはスーパースター 見る者全てを”少年”の心に戻してしまう三浦知良の雄姿

AI要約

三浦知良(カズ)がJFLのアトレチコ鈴鹿に復帰し、ヴェルスパ大分戦で30分間プレーした。

カズは日本サッカーの初期に活躍し、最初のスーパースターとして知られる。

カズのプレーに魅了された多くのファンが、40年目のプレーでも彼の熱狂を受け継いでいる。

57歳、白髪が目立ってもカズはスーパースター 見る者全てを”少年”の心に戻してしまう三浦知良の雄姿

◇記者コラム「Free Talking」

 日本サッカーをリードしてきた57歳がポルトガルから再び日本に戻ってきた。日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿に復帰した元日本代表FWの三浦知良(カズ)が14日、ホームの三重・三重交通Gスポーツの杜鈴鹿でのヴェルスパ大分戦で後半17分から途中出場。代名詞の「11番」を背負って試合終了まで約30分間プレーし、「2年ぶりに(日本の)ピッチに立てたのは皆さんのおかげ」とファンに感謝した。

 高校中退後、15歳でブラジルに渡り、当地でプロにのし上がった。1993年にJリーグが誕生するのを前に帰国し、V川崎(現東京V)で初代優勝とMVPに輝いた。同年のW杯米国大会アジア最終予選で宿敵・韓国を破る決勝ゴール、94年には当時世界最高峰のイタリア1部「セリエA」にアジア人として初めて挑み、得点もマーク。サッカーが日本で人気プロスポーツになってから生まれた最初のスーパースターだった。

 90年代に多感な少年時代を過ごした筆者の世代には特にまぶしく映る。14日は試合開始2時間以上前にスタジアムに到着したカズを60人ほどのファンが待っていた。その中には背中に「KAZU」のネームと「11」の番号が入った代表のレプリカユニホームを着た中年男性の姿もあった。観客席でも40歳代くらいの男性が小学生の息子に「今日はカズさんが出たから、絶対に負けたらアカン」と熱っぽく語っていた。

 ブラジルでプロになってから40年目。これだけ長く第一線でプレーする選手は他に類を見ない。この間、憧れの目を向けていた少年少女はとっくに成人し、今ではオジサン、オバサンに。それでも背番号11を見つめる熱いまなざしは変わらない。4部リーグ相当のJFLに戦いの舞台を移しても、往時のようなドリブルができなくても、白髪が目立つようになっても、カズは今でも「カズ」なのだ。

 その雄姿をピッチで見るだけで、胸躍らせた当時の記憶がよみがえる。カズは大人を少年にする。中年になった今も、童心に帰れる存在がいることがありがたい。(一般スポーツ担当・唐沢裕亮)