【専門家選出の歴代世界最強GK】「ふたりのどちらかに落ち着く」→「彼はモノが違う」その結論になぜ行き着いたか

AI要約

歴代世界最強GKについて、元JFA・GKコーチの田口哲雄氏がレフ・ヤシンから現代のジャンルイジ・ブッフォンとマヌエル・ノイアーに至るまで検討し、ブッフォンとノイアーが候補に挙がる理由を述べた。

ブッフォンは全盛期において速い反応と柔軟な身体能力が特筆され、一方のノイアーは革命的なプレースタイルでゴール防衛能力を高めることを達成した。

田口氏が監督ならノイアーを起用する理由も述べられ、他にもタファレル、イルクナー、シルトン、カシージャスなどの素晴らしいGKが挙げられている。

【専門家選出の歴代世界最強GK】「ふたりのどちらかに落ち着く」→「彼はモノが違う」その結論になぜ行き着いたか

 歴代世界最強GKは誰か? 正直、難題である。ただ、それを承知で元JFA・GKコーチの田口哲雄氏に答を求めてみた。すると、田口氏も「それこそレフ・ヤシンで始まっちゃいますからね。ゼップ・マイヤーとかディノ・ゾフとか、トニー・シューマッハーとか、候補者を挙げていけばキリがありません」と述べたうえで、「それでも」と続けた。

「ジャンルイジ・ブッフォンとマヌエル・ノイアーのどちらかに落ち着くのかなと考えています」

 これももちろん個人の見解である。田口氏は言葉を継ぐ。

「昔のサッカーを好きな人はあまり認めないと思いますが、キーパーは進化しています。なので、最新がベストとは言いませんけど、サッカーそのもののプレースピードは間違いなく速くなっています。その中でキーパーに求められる役割も増えてきていて、この20年ぐらいを見ると、やはりブッフォンとノイアーかなと」

 全盛期のブッフォンの凄さは「変態的に速い」ところ。「2006年のワールドカップ、ドイツとの試合でポドルスキに至近距離から打たれたシュートも触っている」「フランスとの決勝でジダンのヘッドを片手で防いだ」と証言した田口氏の感覚は「その距離でも反応するんだ」だった。

「ブッフォンは股関節、足、膝の関節が柔らかい。動けないはずの体勢から動けたりするので。出場試合数(セリエAで657試合、イタリア代表で176試合)を見てもケチのつけようがありません」

 一方、「キーパーのプレースタイルを革命的に変えた」と言われるノイアーだが、田口氏に言わせれば「キーパー本来のゴールを守るという仕事についても、とにかく“速い”」。

「僕も目の前で何度も見ていますが、あのサイズ(193センチ)で、これだけ速いのかよと。ちょっとずるいです。80年代、90年代は190センチ以上あるキーパーは動けないイメージがありました。その点でノイアーは次元が違うし、1対1になった時にどっしりと構えたうえで打たせて、そこから反応できる凄さがある。あと、ノイアーがサッカーボールを2メートルぐらいの高さでビシッとハーフウェイラインまで投げた時は、『彼はモノが違う』って思いました」

 簡単に言えば、全盛期のノイアーは「現代のキーパーに求められる資質を全て最高レベルで備えていた」(田口氏)。

 全盛期のブッフォンとノイアー、田口氏が監督ならどちらを起用するか。そう訊くと即座に「ノイアー」と答が返ってきた。その理由は「ノイアーのほうがボールを持った時の選択肢が多い」からだった。

 もちろん、ノイアーやブッフォンの他にも素晴らしいGKはいる。クラウディオ・タファレル(元ブラジル代表)、ボド・イルクナー(元ドイツ代表)、ピーター・シルトン(元イングランド代表)、イケル・カシージャス(元スペイン代表)…。あなたが推す世界最強GKは?

構成●サッカーダイジェストTV編集部