まさに異次元。前半で交代も“川崎の象徴”大島僚太のプレーにはサッカーの魅力が詰まっていた
川崎はC大阪との試合で先制するも追いつかれ、5試合連続のドローとなった。ボランチの大島僚太が異次元のプレーを見せたものの、前半終盤にアクシデントで交代となった。
大島は絶妙なポジショニングとロングフィードで周囲をコントロールし、ゴールを狙う姿勢を示した。チームは苦しい状況に立たされる中、大島に過度なプレッシャーをかけることは避けたい。
しかし、多くのファンが彼のプレーを引き続きピッチで見たいと思っている。彼の技術とゴールへの意欲はチームにとって貴重な存在だ。
[J1第23節]川崎 1-1 C大阪/7月14日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
川崎がまた試合終盤に追いつかれ、5試合連続のドローとなったC大阪戦、それでも先制に成功した前半の川崎は、これぞと言えるようなサッカーを披露していた。
C大阪の前線からのプレスを上手く掻い潜り、前進する。その中心にいたのがボランチで先発した10番・大島僚太だ。
ここ数年は怪我に泣き続け、今季も6月すぎに戦列復帰したばかり。この日も前半の終盤にアクシデントを抱えたようで、45分のみで交代となった。
だが、前半の彼のプレーは異次元だった。シンプルにも見えるその振る舞いにはサッカーの神髄が詰まっていたと言えたのだ。
絶妙なポジショニングでボールを引き出すと、相手の逆を突きながら味方へ。まさに周囲をコントロールしているかのような姿で、スタジアムの視線を集めた。
川崎といえばショートパスのイメージが強いが、相手のヘッドがわずかに届かないような絶妙なロングフィードで味方を裏に走り込ませたのも一度や二度ではない。
それは技術を何より大切にしながら、ボールをつなぐことが目的ではなく、ゴールを取ることが目的だと、周囲に伝えているかのようなパスでもあった。
今後、彼がどれだけピッチに立てるか不透明だ。チームは降格圏と勝点3差と、苦しい状況に立たされる。そのなかで大島に過度なプレッシャーをかけるわけにはいかない。それでも彼のプレーをやはりピッチで何度も見たい。そう思ったのは私だけではないだろう。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)