再計量でまさかの体重増量…正統派戦士がプロ19戦目で初の減量失敗のワケ「いつ起きてもおかしくなかった」
神田コウヤ選手が体重超過をしてしまい、試合に挑んだ経緯について明かす。
減量計画の過程や異変、極限状態での水抜きについて述べられている。
危険な状況下での戦いについての詳細が語られている。
格闘技イベント「DEEP 120 IMPACT」(東京・後楽園ホール)が14日、行われた。第6試合のフェザー級(65.8キロ)マッチで木下カラテ(27=和術慧舟會HEARTS)と対戦し、判定負けを喫した神田コウヤ(28=THE BLACK BELT JAPAN)は13日の前日計量でまさかの体重超過をした。10代のレスリング選手時から戦ってきている66キロ、MMAではプロ18戦、これまで1度も計量ミスはなかった。一体何が起きていたのか。試合後の控室で話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
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――なぜ体重超過をしてしまったのでしょうか。
「まずは木下選手、申し訳ありません。試合を成立させてくださり本当にありがとうございました。超過ですが、自分はデビューのころから水抜きとリカバリーの幅が増えてきていて、感覚がマヒしていたのかと思っています。いつのまにか体が限界を迎えていました。毎回、フェザーに落とす減量はきついと思っていて、それはファイターだから当たり前だと思ってやってきました。一方で、毎試合減量するたびに体が大きくなっていたんです。今までと同じ方法で失敗してしまいました。遅かれ早かれ、このミスはいつ起きてもおかしくはなかったです」
――今回は具体的にどのような計画で減量をしていたのでしょうか。
「これまでと同じプロセスではありました。1か月前の体重は75から76キロ、1週間前には74キロ、3日前は73キロ、そこからまず塩抜きを1.5キロしました。ここでカリウムを過剰摂取し、動悸などの症状が出始めました。試合2日前から約5キロの水抜きを始めた形です」
――12日開始の水抜きのどのあたりで異変を感じ始めましたか。
「最初は夏なので浴槽に浸かった水抜きで1回1.5キロほど落ちました。それでも最後の方になってくると全く落ちず。1分間お湯に浸かっているだけで心拍も上がってきてしまうという形です」
――減量中はパートナーなど付いていたのですか。
「いつもと同じく1人です」
――それはとても危険なのではないでしょうか。
「そうですね。思考がもう深く狭まっていってしまうので、極限の選択をする気持ちは分かります。オーバーしてしまったときのことも想像してしまうし、寝られないし、もちろん水も飲めないしという状況でした」