【函館記念】ステイヤー発見が的中の近道 スタミナ必須の芝で浮上する“芝2200m以上重賞”の実績馬2頭

AI要約

函館記念は2000mの芝レースであり、スタミナを要する重要な競走だ。

過去の好走馬や最近の優勝馬を見ると、長距離向きの馬が活躍している傾向がある。

今年の函館記念の展望では、ステイゴールド系やロベルト系の馬が注目されている。

【函館記念】ステイヤー発見が的中の近道 スタミナ必須の芝で浮上する“芝2200m以上重賞”の実績馬2頭

言うまでもなく、函館記念は芝2000mで行われるレースだ。これは第4回の68年から変わりない。しかし、過去の好走馬には「長距離戦だっけ」と勘違いしてしまうようなメンツが顔を揃えている。今後はないだろうが、71年にメジロムサシ、76年にはエリモジョージと、同年の天皇賞(春)の覇者が勝利したこともある。

近年に限っても19年3着のステイフーリッシュは後に海外の長距離重賞を2勝、昨年3着のブローザホーンは今年の天皇賞(春)で2着に健闘し、先日の宝塚記念でGⅠ馬に上り詰めた。他にもアイスバブルやマイネルウィルトスなど、芝2500m以上の重賞で実績がある馬、あるいは後に好成績を残す馬の活躍が目立つ。

これは偶然なのだろうか。レースを取り巻く環境を考えると決してそうは思えない。最大の理由として挙げたいのは函館が洋芝であることだ。JRAの全10場のうち、洋芝オンリーで開催されているのは札幌と函館の2場のみ。とりわけ函館は札幌に比べると含水率が高く、仮に良馬場であってもパワーが求められる傾向にある。

それに加え、函館記念は開催後半に組まれ、しかも一昨年以降は最終日に施行されている。先週からBコースに替わったとはいえ、最終週を迎えた芝は全体的に傷んでいる。そう考えると函館記念は「JRAで最もスタミナを求められる芝」で行われる重賞といっても過言ではないだろう。ならば2000mがベストの馬ではなく、2200m以上に適性がある馬が好走するのは当然。また、菊花賞や天皇賞(春)で良績を残しているステイゴールド系やロベルト系の活躍が目立つのも納得なのだ。

<過去10年の前走距離別成績>

2000m未満【4-5-3-70】勝率4.9%/連対率11.0%/複勝率14.6%

2000m【3-1-5-38】勝率6.4%/連対率8.5%/複勝率19.1%

2000m超【3-4-2-21】勝率10.0%/連対率23.3%/複勝率30.0%

実際に過去10年の前走距離別成績では、2000mよりも長い距離から短縮ローテで臨んだ馬が同距離や延長組と比べ勝率、連対率、複勝率のいずれも頭一つ抜ける。最終週の開催だった近2年でも【1-1-1-3】と半数が馬券に絡んでおり、データの裏付けもバッチリだ。

今年の出走馬を見てみよう。芝2200m以上の重賞で3着以内の実績があるのは2頭。1頭目は今年のAJCC覇者チャックネイトだ。昨年のアルゼンチン共和国杯でも3着の実力馬。前走の天皇賞(春)ではGⅠの壁に跳ね返されて14着に崩れたが、GⅢなら巻き返し必至だ。血統を見ると、母の父がロベルト系のダイナフォーマーというのも心強い。

そして、もう1頭はサヴォーナ。重賞勝ちこそないが、昨年の神戸新聞杯が2着、菊花賞が5着、今年の日経新春杯が2着だから相当なスタミナを秘めている。今回は久々の2000m戦が不安視されるが、〝2000mは少し短いのでは?〟と思える馬こそ、函館記念では狙い目となるのだ。また、2頭とも天皇賞(春)からの距離短縮ローテである点もプラスで、同レースからの臨戦は過去10年で【1-1-1-4】と信頼度はさらに上昇する。

馬券はこの2頭を中心に据えたい。そして穴党には父と母の父がともにロベルト系のマイネルクリソーラがオススメ。さらに道悪になれば、2年前の覇者であるハヤヤッコの台頭があるかも。いずれにしても「長距離馬」と「パワータイプ」を重視して好配当的中を目指したい。

《ライタープロフィール》

逆瀬川龍之介

国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。