【陸上】100mH寺田明日香「最後の日本選手権になるかもしれない」五輪目指し12秒台連発、涙の3位/日本選手権

AI要約

福部真子が2年ぶりに日本選手権の女子100mハードルで優勝し、パリ五輪代表に内定した。

寺田明日香が自身の最後の日本選手権を戦い、12秒台を達成するも参加標準記録に届かず、感動的な競技が繰り広げられた。

寺田は今後の決断を慎重に考える中、ファンは彼女の美しい走りを再び見たいと願っている。

【陸上】100mH寺田明日香「最後の日本選手権になるかもしれない」五輪目指し12秒台連発、涙の3位/日本選手権

◇第108回日本選手権(6月27日~30日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)4日目

パリ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権の4日目に行われた女子100mハードルは、福部真子(日本建設工業)が12秒86(-0.2)で2年ぶり2度目の優勝。参加標準記録を準決勝で突破していたため、パリ五輪代表に内定した。

2位に田中佑美(富士通)が続き、3位に寺田明日香(ジャパンクリエイト)が入った。

フィニッシュ後には涙がこぼれた。

「いろんな思いがあります。今やれることはやってきたので、仕方ないと思っています」

将来を期待されたハードラーとして彗星のごとく現われ、高校記録を出し、世界選手権にも出場した。その後、引退し、結婚、出産を経てラグビーに挑戦。そして2019年、オリンピックを目指してトラックに戻ってきた。

日本女子初の12秒台に突入。東京五輪にも出場し、夢を叶えた。だが、そのスタンドに、応援してくれる人たち、愛する家族の姿はなかった。もう一度、と奮起したここまでの3年間。時には試合出場を抑えてでも、この1本に懸けてきた。

だが、「35歳を前にして本当に身体が動かなくなってきたとすごく感じる。全然走れなかった」。脚の痛みにも耐えながら何とか仕上げたからこそ、「13秒かからないで日本選手権を終えられた」。それでも、参加標準記録(12秒77)に届かず、ワールドランキングでも出場枠には届かなかった。

「オリンピックイヤーに合わせられなかったのは、前の自分に戻っちゃったのかなと思ったり…」。ただ、この大一番で12秒台をそろえてトップ3位

に入る存在感は際立つ。

これまで何度も「最後のオリンピックへの挑戦」と口にしてきた寺田。明言は避けたが、「これが最後の日本選手権になるかもしれない」。それだけ「懸けてきた」。だからこそ、簡単に来年のことは語れない。

「(福部)真子ちゃん、(田中)佑美ちゃん、青木(益未)を含めて、みんなで3枠を争ってきて、行けなかったのはすごく残念です」

寺田の元にともに戦ったハードラーが駆け寄る。みな、寺田明日香の偉大さを理解し、その背中を追って成長してきた。

「一度引退した時の日本選手権では予選で落ちて、みなさんにご挨拶できずに姿を消しました。次にトップシーンから退く時は、いろんな方の前で走って辞めたい。中高生と一緒に走るのか、陸上教室なのか、いろいろなところにいって辞めたいと思っています」

もう少し、その美しく、芸術的なハードリングを見たい。そう思うファンは多い。今は静かに、寺田の決断を待つ。