ヤクルト上位浮上のカギ握る3年目・丸山和郁 師匠・青木宣親の「金言」胸にレギュラー定着へ

AI要約

ヤクルトの丸山和郁外野手の成長と季節、師匠である青木宣親外野手からのアドバイスについて

打率やプレーについての自己評価、外野手としての意気込み

怪我による交代や脳しんとう特例での登録抹消があったが、チームのために必死にプレーする姿勢と趣味について

ヤクルト上位浮上のカギ握る3年目・丸山和郁 師匠・青木宣親の「金言」胸にレギュラー定着へ

 プロ野球の各担当記者の推し選手を紹介する「推しえて」第5回は、ヤクルト・丸山和郁外野手(24)。3年目の今季はここまで45試合に出場し、打率3割8厘をマークするなど、ブレイクの兆しを見せている。自主トレをともにする師匠・青木宣親外野手(42)の“金言”を胸にレギュラーの座をつかむ。(取材・構成=長井 毅)

 ハッとした。4月中旬のある日。東京Dで丸山和はトレーナーのマッサージを受けていた。その光景を見ていた青木からこう言葉を掛けられた。

 「トレーナーに頼るだけじゃなくて、自分の力でトレーニングをしながらコンディションを整えることも大事。そうしていかないと(体は)強くならないし、どんどん落ちていく一方だから。ムネ(村上)とか秀樹(長岡)を見習ってやるように」

 出場機会が増えて、過去2年よりも体力的に「圧倒的にしんどい」と自覚。体のケアを優先していた時期に、日米通算21年目のベテランから、疲労が残る中でも体に負荷をかける重要性を説かれた。

 「ムネとか秀樹とか自主トレを一緒にするメンバーを見て思うことは、(これまでに)何百試合も出ていても毎日継続してトレーニングをして、体を強くして(試合に出る)準備をしている。僕はどうしても体が追いつかなくて、ちょっとマッサージに入ってたんですけど、(青木)ノリさんに言われてからトレーニングをしっかり取り入れるようになりました」

 このままレギュラーに定着すれば、開幕前に目標にしていた「打率2割8分」達成の可能性も十分ある。現在、規定打席未満だが、打率は3割をキープ。昨季までと比べて手応えもつかみつつある。

 「まだ打席もあまり立っていないですし、一概には評価しにくいですけど、去年よりもタイミングが取れています」

 これまで始動からバットを振り抜くまでの過程で動きが止まり、余分な力みにつながっていた点を修正。スムーズな流れでスイングすることを心掛ける。

 シーズン前は青木、西川、塩見、サンタナらとの外野レギュラー争いは激しくなると予想されていた。しかし、塩見が左膝の故障で今季絶望。丸山和にとってはチャンスでもある。

 「状況判断とか、経験値で言えばノリさんとか、(西川)遥輝さん、(山崎)晃大朗さんの方が圧倒的に上。3年目で、経験を積ませてもらっているので、思い切りプレーできていることが、今のところはいいのかなと。もちろん、これから守備では打球を止めなきゃいけない場面、勝負しないといけないところとか、(先輩たちが)いろいろと教えてくださるので学んでいきたい。外野手は打たないと使ってもらえないので、しっかりこれからも頑張りたい」

 5月19日の阪神戦(甲子園)の2回裏の右翼の守備で、木浪の飛球をジャンピングキャッチした際にフェンスに体を打ちつけ、3回に負傷交代。影響を考慮され、21日のDeNA戦(神宮)は休養となった。

 22日の同カード(神宮)でスタメン復帰したが、思わぬアクシデントに見舞われた。6回表の守備で、宮崎の中飛をフェンスに激突しながら好捕した際に頭部を強く打ちつけたことで、着地後はしばらく動けず担架で運ばれて途中交代。翌23日に脳しんとう特例で出場選手登録抹消となった。いずれもチームのピンチを救うビッグプレー。今後も故障を恐れずプレーすると腹を決めている。

 「勝つためにやっているので(必死な気持ちは)忘れないでやっていきたい」

 毎朝、人気アニメ「名探偵コナン」を1話見るのがルーチン。この25分間が息抜きとなっている。映画版の「ベーカー街(ストリート)の亡霊」「黒鉄の魚影(サブマリン)」などもお気に入りだ。

 「自分の成長もそうですけど、チームが勝つことが一番。今は1番打者で出させてもらっているので、しっかり塁に出ることを目標にやっていきたい。出塁率は3割8分を目指していきたいですね」

 チームが借金生活を送る中、“コナン級”の活躍で救えるか。上位浮上のキーは丸山和が握っている。

 ◆丸山 和郁(まるやま・かずや)1999年7月18日、群馬・高崎市生まれ。24歳。倉渕小で軟式野球を始め、倉渕中から前橋育英に進み、2年夏、3年春、夏と3度甲子園出場。明大では2年春にレギュラーに定着すると、全日本大学野球選手権で優勝し、日米大学野球日本代表に選出。4年時は主将。2021年ドラフト2位でヤクルトに入団。174センチ、80キロ。左投左打。今季年俸1600万円(推定)。