NASAが惑星探査機「ボイジャー1号」のスラスター切り替えに成功 打ち上げから47年後も続くミッション

AI要約

1977年に打ち上げられたボイジャー1号は、2024年9月12日時点で地球から約246億km離れた場所で飛行中。

ボイジャーのスラスターに生じた問題を解決するために、JPLは2024年9月10日にスラスターの切り替えに成功。

ボイジャー1号は引き続き星間空間の観測データを取得し、運用を続けるための努力が続いている。

NASAが惑星探査機「ボイジャー1号」のスラスター切り替えに成功 打ち上げから47年後も続くミッション

アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は2024年9月10日付で、惑星探査機「Vayager 1(ボイジャー1号)」の姿勢をコントロールするために欠かせないスラスターの切り替えに成功したと発表しました。

1977年9月に打ち上げられたボイジャー1号は、2024年9月12日時点で地球から約246億km(約164天文単位)離れたところを飛行しています。JPLによると、ボイジャーに搭載されている2セットの姿勢制御スラスターと1セットの軌道制御スラスターは、推進剤タンクで使用されているゴム製ダイヤフラム(ダイアフラム)の経年劣化で生じる二酸化ケイ素によって配管が徐々に詰まり、推進効率が低下しているといいます。

ボイジャー1号では2002年にそれまで使用されていた姿勢制御スラスターのセットが詰まり始めたことから別のセットへの切り替えが行われましたが、切り替え後のセットにも詰まりの兆候が現れたため、2018年からは土星フライバイ後の1980年11月以来使用されていなかった軌道制御スラスターが姿勢制御に用いられています。しかし、2024年現在の軌道制御スラスターの詰まりは2018年まで使われていた姿勢制御スラスターよりも悪化していることから、今回、姿勢制御スラスターを再び使用するための切り替えが行われました。

切り替えに際しては損傷を防ぐためにスラスターをヒーターで温める必要があるものの、ボイジャーに電源として搭載されている放射性同位体熱電気転換器(Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)の発電量が低下していることから、利用できる電力は限られています。電力の確保手段を検討したボイジャーの運用チームは、メインヒーターの1つを最大1時間だけオフにすれば必要な電力を確保できると判断。対策が功を奏し、2024年8月27日には姿勢制御スラスターが正常に機能していることが確認されました。

なお、稼働中の科学機器の1つを一時的にオフにする案も検討されたものの、オンラインに戻らないリスクを考慮して、この案は除外されました。ボイジャーのプロジェクトマネージャーを務めるJPLのSuzanne Doddさんは「私たちが今後下すあらゆる決定は、以前よりもはるかに多くの分析と注意を必要とするでしょう」とコメントしています。太陽圏を脱出したボイジャー1号はボイジャー2号とともに星間空間の貴重な観測データを取得し続けており、チームはボイジャーを可能な限り長く運用し続けるために取り組んでいるということです。【最終更新:2024年9月12日12時台】

Source

NASA/JPL - Voyager 1 Team Accomplishes Tricky Thruster Swap