「大陸は動いている」「かつて超大陸が存在していた」…プレートテクトニクスが明らかにした、「誰も知らなかった驚きの事実」

AI要約

地球の歴史とプレートテクトニクス理論の誕生について紹介。

ウェゲナーの大陸移動説とその根拠について。

大陸移動説の証拠と科学者の懐疑的な姿勢について。

「大陸は動いている」「かつて超大陸が存在していた」…プレートテクトニクスが明らかにした、「誰も知らなかった驚きの事実」

海があり、陸地があり、植物や動物がひしめきあっている地球――。私たちが当たり前のように享受しているこの星の環境は、実は46億年かけて生み出された「すごすぎる仕組み」だった…!

地球の成り立ちから現在までの変化を壮大なスケールで眺め、物質循環という「非常にシンプルな原理」で解説した地球科学の新しい入門書『地球46億年 物質大循環』から、そのポイントをお伝えしたい。

*本記事は、月村勝宏著『地球46億年 物質大循環 地球は巨大な熱機関である』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

ウェゲナーが唱えた大陸が移動するという仮説は、その後の大規模な海洋底の調査により、プレートテクトニクス理論へと発展していきました。プレートテクトニクス理論では、地球の表面はいくつものプレートに覆われており、対流しているマントルに乗って水平に動いているとしています。ここでは、プレートテクトニクス理論が確立するまでの経緯とその理論を見ていきます。

ドイツの気象学者であるウェゲナーは、1912年に大陸がゆっくりと動いているという仮説を提案しました。大きな大陸が分裂して離れたり、二つの大陸が衝突して一つになったりするというのです。

ウェゲナーが大陸移動説を思いついたのは、大西洋を挟む二つの大陸(南アメリカ大陸とアフリカ大陸)の輪郭が同じ形をしていたからだと言われています(図1 超大陸パンゲアの分裂)。

三畳紀(2億5千万年前から2億年前)の時代に一つの超大陸が分裂して、それぞれの破片が移動して現在の位置にきたと、ウェゲナーは考えました。この超大陸はパンゲアと呼ばれています。池の氷が割れて、それぞれの破片が移動して間が広がることに似ています。破片となった大陸をもとの位置に戻すと、一つの超大陸パンゲアができます(図1 超大陸パンゲアの分裂)。

三畳紀に超大陸が存在しており、その後分裂したという証拠がいくつか見つかりました。最大の証拠として、南アメリカおよび南アフリカの大西洋岸には、三畳紀およびそれ以前にまったく同じ陸上動物が生息していたことがあります。これらの化石は両大陸の大西洋岸に見つかっていますが、他の地域では見つかっていません。また、同一の木の化石が、南アメリカ、インド、オーストラリアで見つかっているという証拠もあります。

約3億年前には、南アメリカ、南アフリカ、インド、南オーストラリアが、現在の南極のような氷河で覆われていたという証拠もあります。大陸が移動していないとすると、南半球一体が氷河で覆われていたことになります。北半球も南半球と同様の気候にあるはずであり、ほぼ地球全体が氷河で覆われていたことになってしまいます。しかし、3億年前に地球全体は氷河で覆われてはいませんでした。つまり、大陸が移動していたとしなければ説明がつかないのです。

このような証拠があるにもかかわらず、当初多くの科学者は大陸移動説に懐疑的でした。それは、大陸が動く機構を説明できなかったからです。ウェゲナーは、海洋地殻の上に大陸地殻が乗っており、大陸地殻が海洋地殻の上を滑ると説明しました(図2 ウェゲナーによる大陸移動の説明)。