餌不足で「共食い形態」に激変、60年近く“死の淵”をさまよい続ける「不屈のサラマンダー」

AI要約

サンタクルーズユビナガサラマンダーは絶滅危惧種であり、1973年に制定された米絶滅危惧種法の対象となっている。

生息地は限られ、気候変動や開発によって生息地が縮小しているが、サンタクルーズユビナガサラマンダーは奇跡的に生き残り、ナショナル ジオグラフィックのプロジェクト「Photo Ark」に選ばれた。

写真家のジョエル・サートレイ氏は、Photo Arkプロジェクトを通じて動物たちの姿を伝え、保存し、絶滅を防ぐために活動している。

餌不足で「共食い形態」に激変、60年近く“死の淵”をさまよい続ける「不屈のサラマンダー」

 ユビナガサラマンダーの亜種であるサンタクルーズユビナガサラマンダーは、ずっと死の淵をさまよい続けている。

 1967年、サンタクルーズユビナガサラマンダーが米絶滅危惧種保護法の対象になった。これは、1973年に制定された米絶滅危惧種法(ESA)の前身となった法律だ。

 サンタクルーズユビナガサラマンダーはサンフランシスコの南、海岸沿いの2郡のみに生息している。体長は約7.5センチ。気候変動、農業、開発によって縮小している水たまりや湿地に暮らし、生息域は沿岸部の全長25キロに満たないと考えられている。

 それでも、この不屈のサラマンダーは奇跡的に生き残っている。そして、脅威の回復力を示し、サンタクルーズユビナガサラマンダーはナショナル ジオグラフィックのプロジェクト「Photo Ark(フォト・アーク、写真の箱舟)」の1万6000種目に選ばれた。

「サンタクルーズユビナガサラマンダーは見過ごされている種です」とPhoto Arkの創始者である写真家のジョエル・サートレイ氏は語る。このプロジェクトでは、世界中の動物園、水族館、飼育繁殖施設に暮らす動物2万種の記録を目指している。動物の姿を伝え、保存し、さらには絶滅から救うことが目的だ。

「私たちが白黒の背景を使うのは、余計な要素を取り除くためだけでなく、すべての動物に平等な“声”を与えるためでもあります」と2006年にプロジェクトを立ち上げたサートレイ氏は話す。「写真の中では、すべての動物が同じ大きさです。このサラマンダーはトラのように大きく、堂々としています」

 サートレイ氏が節目の種としてサンタクルーズユビナガサラマンダーを選んだのは、「この種を人々に紹介し、彼らがどれほど素晴らしい動物で、どのように生き延びてきたかを知ってもらう」ためだ。

 野生のサンタクルーズユビナガサラマンダーがどれくらい存在するかは不明だが、おそらく残りわずかだろう。