脳死の可能性は年4400人 脳死判定は2% 厚労省研究班推計

AI要約

厚生労働省が2022年度における脳死の可能性がある人の推計結果をまとめた。脳死判定に至った割合や臓器提供に進んだ割合が示されている。

895施設を対象に行われた調査により、「脳死とされうる状態」の人数や臓器提供に関する統計が明らかになった。

厚労省によれば、臓器提供可能な施設の多くは経験が浅く、地域間の連携が必要とされている。

脳死の可能性は年4400人 脳死判定は2% 厚労省研究班推計

 脳死の可能性がある人は2022年度に約4400人いたとする推計結果を厚生労働省がまとめた。臓器提供に向けた手続きに進んだ人は25・2%、脳死判定に至った人は2・4%だった。26日、厚労省研究班の調査をもとに、臓器移植委員会で示した。

 研究班は、脳死下の臓器提供ができる895施設を対象に調査、612施設(68・4%)から回答を得た。22年度中に死亡した人のカルテを精査した結果、「脳死とされうる状態」だったのは3017人だった。全施設から回答があった仮定では4412人と推計された。

 「脳死とされうる状態」と診断されると、臓器提供を含めた終末期医療に移行する。調査では、3017人のうち実際に診断されたのは932人(30・9%)で、推計1363人だった。さらに、家族に臓器提供の選択肢が示された人は推計で1113人と、脳死の可能性がある人全体の25・2%だった。臓器提供に関する本人の意思や家族の同意があり、脳死と判定された人は106人。実際に臓器提供に至った人は105人だった。

 厚労省によると、脳死下の臓器提供が可能な施設のうち約7割は臓器提供の経験がない。また、経験がある施設の約4割はこれまで1件しか臓器提供をしていない。地域による偏りも大きいことから、施設間の連携体制の強化を進めている。(藤谷和広)